全国募集や特色学科に活路 公立高「定員割れ」に苦心、加速する少子化色濃く

高校受験シーズンが目前に迫る中、加速する少子化の波は、公立高校にも押し寄せている。入学者が募集人数を下回る「定員割れ」に悩む公立高は県外から生徒を確保する全国募集を導入したり、学科や部活動を新設したりするなど特色づくりに活路を見出そうとしている。地域との連携も深めつつ、いかに学び舎を存続させるか。試行錯誤は続く。

日本海に面する人口約9千人の青森県鰺ケ沢町。町内唯一の公立高校、鰺ケ沢高の在校生はわずか25人。大規模校だった過去の面影はない。今年度の入学者も9人にとどまり、来年度から2年連続で入学者が募集人数の半数未満(鰺ケ沢高の場合は19人以下)になると、募集停止に向けた協議に移る。

学校存続の危機に直面する鰺ケ沢高は、打開策として部活動の充実とともに、来年度から生徒の全国募集に乗り出す。町内でゴルフ場やスキー場の運営会社と連携協定を締結し、昨年6月に新設したゴルフ部の部員が施設を活用、来年度はスノーボード部の創設も視野に入れる。

鰺ケ沢高を含む県内4校で来年度から全国募集を決めた県教育委員会も〝青森留学〟と銘打って県外生徒の受け入れを支援する。鰺ケ沢高の川浪泰浩校長は「学校と行政、企業が一体となって地域に貢献できる人材を育てるとともに、世界に通用するスポーツ選手を育成したい」と学校存続に期待を寄せる。

北アルプス山麓にある長野県白馬村の白馬高は平成28年度、外国人も多く集まる全国有数の観光地を武器に「国際観光科」を開設し、全国から生徒を募集している。

当初は順調に滑り出したが、新型コロナウイルス禍で観光業の先行きが不透明になり、県外生徒は減少傾向だが、関正浩校長は「今年度はほぼコロナ禍前の行事ができるようになってきた。県外の生徒も戻ってきてほしい」と訴える。

特色ある学科・コースの創設などを打ち出し、県外生徒にアピールする全国募集は地方を中心に広がっている。群馬県ではこれまでに尾瀬高の「自然環境科」、嬬恋高の「スポーツ・健康コース」に加え、万場高は淡水魚の養殖などを学ぶ「水産コース」をそれぞれ創設し、全国から生徒を集めている。宮城県は今春の入学から県内2校で全国募集を導入する。

ただ、全国募集については、定員割れが改善される見通しがないのに、地域住民の税金を投入して県外生徒を経済的に支援する必要があるのかとの見方がくすぶる。一方、存続するにはやむを得ない対応で、県外生徒との交流は地元生徒への刺激になるとの声もあり、群馬県教委は「小規模だからこそ、友人や教員との関係が築きやすい」と利点を訴える。

とはいえ、定員割れが続けば部活動が維持できなくなったり、教員数が減ったりして教育の質の低下につながりかねない。募集人数の減少でしのいでも、その先には再編論議が待ち受ける。

秋田県では昨春の入試で全公立高46校(分校含む)のうち34校の学科などで定員割れに。来年度は能代松陽など6校が募集人数を減らす。高校再編を進める埼玉県では今春に公立高4校が2校ずつ統合して2つの新校が、令和8年春には12校が2校ずつ統合して6校が誕生する計画で、歯止めのかからない少子化への対応を急ピッチで進めている。(福田徳行、原田成樹、風間正人)

減少する公立高 文部科学省によると、令和4年時点の全国の高校数は計4824校で、内訳は国立15校、公立3489校、私立1320校。30年前(平成4年)の全国の高校数計5501校に比べて計677校減少した。この減少数は30年間に〝消滅〟した公立校の数と同数で、少子化に直面する公立高で統廃合が急速に進展している状況を裏付けている。対照的に国立と私立の高校数はほとんど変わっていない。

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