衝撃事件の核心

「傷が負い目にならないか」まさかの露店爆発で修羅場と化した現場 被害者が吐露した福知山花火大会事故の苦悩

盛本さんによると、3人は事故当時、出火元のベビーカステラ店の横に座っていた。大きな爆発音の直後、長男は次男に覆いかぶさって熱風の盾となり、その後、次男を川に逃がした。この結果、次男は顔のわずかなやけどにとどまったが、長男は重傷を負った。

当時の現場河川敷は逃げ惑う見物客で混乱し、妻は一時、息子たちと離ればなれになった。妻はこのことに自責の念を抱いていたといい、病室で泣きながら、2人へのメッセージをしたためたという。

実行委員会との示談、計51人に

花火大会の露店爆発事故は、露店主の男(42)=業務上過失致死傷罪で禁錮5年が確定=が由良川河川敷でベビーカステラ店を営業中、発電機に給油しようとして携行缶から噴出したガソリンをプロパンガスの火に引火、爆燃させたことが原因だった。

これまで、福知山商工会議所などでつくる花火大会の実行委員会は、露店主が服役中であることなどから、「法的な支払い義務を負っているわけではないが道義的・社会的立場での救済」として、遺族を含む被害者との示談を実施。治療費や休業補償などを支払ってきた。

事故から4年に合わせて記者会見した実行委によると、この1年間で新たに11人(男性6人、女性5人)と示談が成立した。これで示談成立は対象の57人のうち51人となり、残る6人についても、治療を継続しても症状の大幅な改善がされない「症状固定」などになっているため話し合いを進めているという。

ただ、負傷者にとって、今後の後遺症などへの不安は残ったままだ。

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