完成した「金沢ふらっとバス」の電動車両=割出町

  ●新年度内にクレカ決済導入

 金沢市が4月上旬に運行を始める「金沢ふらっとバス」の電動車両(EV)が18日までに完成した。加賀五彩の古代紫を基調とした水引のデザインを車体に施し、乗客用のUSBポートを座席に備えた。支払い用のクレジットカードのタッチ決済の導入を新年度中にも進める。コロナ以降、まちなかを巡る同バスの利用が落ち込む中、機能と見た目の両輪で魅力をPRし、利用者増につなげる。

 現行のふらっとバスはディーゼル車両で、此花、菊川、材木、長町の計4ルートを運行している。このうち、此花ルートを巡る1台が新年度から電動車両に置き換わる。此花ルートは金沢駅や真宗大谷派金沢別院(東別院)、近江町市場など19地点に停車する。

 電動車両のデザインは金沢美大美術工芸学部デザイン科4年の関口優月さんが手掛けた。座席下など計8カ所にUSBポートを備えたほか、EV化によって走行時の騒音をディーゼル車よりも減らし、ルート沿いの住民に配慮する。今回を皮切りに残る3ルートでも電動車両の導入を目指す。

 クレジットカードでの支払いは、此花、菊川ルートを巡るバスで導入する。従来の現金やICカード「ICa(アイカ)」決済も継続する。

 ふらっとバスの利用者数は2023年度が約60万人で、コロナ前の19年度の8割ほどにとどまる。近藤陽介市交通政策監は「EVバスの導入をきっかけに、新たな利用者を増やしたい」と話した。

 18日は割出町の北陸鉄道金沢営業所で、EVバスの操作説明会が開かれた。運転手6人が車両を手掛けたEVモーターズジャパン(福岡県北九州市)の担当者とともに試乗したり、運転席周りの機器を確認したりした。19日も行われる。

無断転載・複製を禁じます