イチロー氏、旭川東の数学教室の窓を破壊「数学の成績だけがーんと下がったらどうしよう」フリー打撃で最長130m弾

野球部員と課したノルマ(校舎の屋根越え5本)を達成し喜ぶイチローさん(代表撮影)
野球部員と課したノルマ(校舎の屋根越え5本)を達成し喜ぶイチローさん(代表撮影)

 日米通算4367安打を記録したイチロー氏(50)=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が4、5日の2日間にわたって、北海道・旭川東高で選手指導を行った。

 2021年の大みそか、イチロー氏のもとに旭川東高の関係者から「悲願を叶えたい」との連絡が届いた。同校はそれまでに過去10度も北北海道大会の決勝に進みながら甲子園には出られず、昨夏には53年ぶり11度目の決勝進出を果たすも再び敗退していた。悲願を叶え、未来の礎となるきっかけを残せたら、と訪問を決めた。練習の合間、練習中にはひっきりなしに選手から質問が寄せられた。

 イチロー氏が驚異の130メートル弾で数学教室の窓を破壊した。

 選手がケージを取り囲む中でフリー打撃開始。計73球、63スイング。ティー打撃と合わせて約35分間、打ちまくった。最長推定飛距離130mと規格外の打力を見せつけた。

 「どういう動きをしているかで、(打球を)コントロールできるかが決まる。すごく大事。コントロールできることがすごく大事」とまずはバントを9球。そこから打撃を開始した。

 グラウンドの右翼は「95m」の表示のところに高さ約8mの防球ネットがある。そのすぐ奥に4階建ての校舎がそびえる。

 まずは27球で23スイング。うち2球がネットを超えて校舎へ。1球が窓を直撃し、もう1球は窓の間の壁に当たった。

 「大丈夫? もし割っても。割ったら終わるわ。目的変わってきた」と笑った。

 「引っ張るのって難しい。正しく引っ張るのは。最終的に(右翼)ポール際が切れない打球、その形が僕の中でいい形。そこを目指している。(左脇を)締めて引っ張る。ヘッドが走るために(開くのを)我慢して走らせる」と説明した。

 その後、30球で27スイング。7球目で校舎を超え、大歓声が起きた。

 「もうちょっと見たい? なかなか超えない? もうちょい見たい? おじさん疲れるからさ」と笑い、15球目にも校舎超え。選手からは「えぐい」の声が飛んだ。

 高い飛球も多く「高く上がるのは大事。ポイントで打つと角度がつく。ライナーばっかりだと試合では差し込まれる。高いフライは紙一重。自分の判断基準を持つことが大事」と話した。

 「そんなに力入れているように見えないでしょ。ばててきたときにどういう形を保てるかが大事。(疲れてきたら)チャンスと思って。楽して打つとその形が身につく。しんどくても形を保って。うまくなるチャンスだから」と語った。

 「僕の特徴は股関節。みんな大体(スイングで)ターンするときに、そのままぺたんとなっちゃう。一度股関節が入ってから回る。この動きがあって力が伝わる。難しいけど」

 最後に16球で13スイング。13球目に校舎3階の窓を割り、ナインからは大歓声が起きた。バットを交換して、16球目に再び校舎を超えてバンザイして終了。「うわー」「えぐい」と選手たちは大興奮だ。

 窓が割れたのは数学教室と聞き、イチロー氏は「数学の成績だけがーんと下がったらどうしよう」と爆笑をもたらした。

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