瀕死のアップルを救ったジョブズ氏は唯一無二の存在-ビル・ゲイツ氏
Ros Krasny-
ゲイツ氏がCNNの番組で生前のジョブズ氏について回想
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ジョブズ氏が魔法の呪文を唱えると人々は心を奪われたとゲイツ氏
米マイクロソフトの共同創業者で世界2位の資産家であるビル・ゲイツ氏は、米アップルの共同創業者兼前最高経営責任者(CEO)で2011年に膵臓(すいぞう)がんで死去したスティーブ・ジョブズ氏について、瀕死(ひんし)の状態だった会社を世界で最も価値ある企業に転換する能力を持つ唯一無二の存在だったと回想した。
ゲイツ氏は7日放映されたCNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」のリーダーシップに関するコーナーで、ある時はライバル、またある時には協力関係にあったジョブズ氏について語った。
CNNから提供されたインタビュー記録によれば、ゲイツ氏は「ジョブズ氏が魔法の呪文を唱えると人々は心を奪われたが、私が小さな魔法使いだったため私には効かなかった」と指摘。
「人材を登用し、その人物に高いモチベーションを与え、『これはいいとか、これはだめだ』という設計センスを持つという点で、ジョブズ氏にかなう人にはまだ出会ったことがない」と述べた。
さらに、ジョブズ氏が創業したNeXTが1988年に発売したコンピューターを挙げ、「完全な失敗でナンセンスだったが、それでも人々を魅了した」として、ジョブズ氏は失敗した時でさえ結局は成功させたと評した。NeXTは5年後にハードウエア事業から撤退し、1996年にアップルに買収された。
ジョブズ氏を「ろくでなし」と呼んだこともあるゲイツ氏によれば、ジョブズ氏は「タフさと共に、信じられないくらい前向きなものをもたらした」という。
ブルームバーグのビリオネア指数によると、ゲイツ氏の総資産額は推計1070億ドル(約11兆6000億円)。同氏は2000年にメリンダ夫人と共にビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団を設立。現在は慈善家として活動している。
原題:Gates Says Steve Jobs Cast ‘Spells’ to Keep Apple From Dying(抜粋)