■大相撲初場所 8日目=20日、東京・両国国技館
平成最後の天覧相撲を、幕内最年少の関脇貴景勝(22)が救った。
天皇、皇后両陛下は幕内後半戦の9番を観戦された。昨年は元横綱日馬富士による傷害事件など不祥事が続いたため見送られ、一昨年初場所初日以来2年ぶり、平成では23度目の天覧相撲となった。
ところが、横綱稀勢の里は4日目に引退し、横綱鶴竜、大関栃ノ心、小結御嶽海が休場。さらに大関陣はこの日、高安が4敗目、豪栄道が5敗目を喫し、ふがいなかったが、そんな中で存在感をみせつけたのが、昨年九州場所で初優勝し、大関昇進を目指している貴景勝だった。
初めて両陛下の前で相撲を取った貴景勝は、同学年で中学時代からのライバルである西6枚目の阿武咲(おうのしょう)を押し出しで下し6勝目(2敗)。
「天皇陛下の前で、日本人として恥ずかしい相撲は取れない。初めてだったし、そういう気持ちが湧きました。多彩な技があるわけではないし、自分の相撲を取ろうと思った」と頼もしいコメントを発した。
せっかくの2年ぶりの天覧相撲も、八角理事長(元横綱北勝海)が「力士が緊張したように思う。熱戦よりも、あっさりした相撲が多かった気がします」と漏らしたように、内容の乏しい相撲が目立った。
それだけに、貴景勝の気迫あふれる相撲は際立つ。八角理事長は「最初の立ち合いの違い。貴景勝が押し込んでいた。一番若い2人ですから、将来は千秋楽結びの一番ぐらいのつもりで頑張ってほしい」と同じく6勝2敗の阿武咲とともに高く評価した。