竹生島のタブノキ林、滋賀県指定天然記念物に 学術的価値高く・珍しい大規模群生

 県教育委員会は18日、竹生島(長浜市)のタブノキ林を県指定天然記念物に指定した。人為的影響が少ない照葉樹林として学術的価値が高い点が評価された。このほか、8件を県指定有形文化財などに指定・選択。これで県指定有形文化財などに指定・選択された文化財や天然記念物などは495件となる。

 タブノキはクスノキ科の常緑広葉樹。主に暖温帯の海岸に成育しており、県内では琵琶湖沿岸で見られる。竹生島では、高さ130センチ以上、直径5センチ以上のタブノキは400本以上が成育して県下最大の群落を形成しており、内陸部でこれほど大規模な群生は珍しい。近年竹生島のタブノキ林は、カワウのフンで樹木が枯れる被害に悩まされてきたが、県やボランティアらのカワウ駆除などの保全活動によって植生が回復しつつある。

 県教委文化財保護課は「琵琶湖が作り出す海洋性気象条件と長い時間の中で育まれた森林と考えられ、人為的影響が少ない照葉樹林として学術的価値も極めて高い」としている。

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 このほか指定・選択されたのは、邇々杵(ににぎ)神社(高島市)の本殿と境内社河内神社本殿、多宝塔▽絹本著色阿弥陀三尊来迎図(けんぽんちゃくしょくあみださんそんらいごうず)▽木造男神坐像▽金銅十一面観音不動毘沙門懸仏(こんどうじゅういちめんかんのんふどうびしゃもんかけぼとけ)▽相谷(あいだに)熊原遺跡(東近江市)から出土した土偶1点と土器364点、石器170点▽章斎文庫資料▽三雲城跡(湖南市)▽近江の勧請吊り習俗-の8件。

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