今年で没後50年…落語に愛され、人生そのものが落語と言われた古今亭志ん生が生きた昭和時代をカラー化
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読売新聞の夕刊企画「Color the News」では、モノクロ(白黒)で残された昔のニュース写真を、AIの力を借りてカラー化している。
今年は昭和を代表する落語名人、五代目古今亭志ん生(1973年9月死去)の没後50年にあたる。今回、その全盛期から亡くなるまで、志ん生が登場した新聞記事の写真3枚をカラーリングした。
志ん生については落語ファンでなくとも、1964年の東京オリンピックを描いたNHK大河ドラマ「いだてん」でビートたけしさんと森山未來さんが演じた落語家、と聞けば、うなずく人が多いだろう。最近では、TBS日曜劇場「VIVANT」の中で、若い女性ハッカーが志ん生の落語を録音したCDを装ってハッキングの記録を隠していた、という場面も登場した。
1枚目の写真は1963年。脳出血で倒れたものの復帰し、高座をつとめる志ん生だ。右半身が不自由となり、口調が遅くなったが、その代わりに間をたっぷりとって味が出た、とファンは喜んだという。
この写真のモノクロ原画はプリントで残されており、光量が十分でなく画質が粗かった。衣装のひだなどが鮮明でなく、筆による修正跡も入っていたため、カラー化はやや難航した。AIも悩んだようで、志ん生の衣装と座布団の部分はほとんど真っ黒に塗りつぶしてしまった。そこで、羽織は黒、着物は濃い茶色、座布団は紫と推測して補色した。
2枚目は1952年に撮った夫婦のツーショット。AIは2人の着物の色を紫っぽくカラー化した。しかし、当時の着物としては不自然に思われたため、無難な茶系に修正している。
志ん生はやりたい放題のワガママ亭主ではあったが、実はりん夫人に頭が上がらなかったらしい。この写真は、いかにも、という雰囲気が伝わってくる。
志ん生の十八番の一つに「
3枚目は1973年9月、志ん生の通夜である。写真の奥に供花が並んでいるが、AIは明るい赤などを使って、葬儀らしからぬ派手な色でカラー化してしまった。花束や花柄はカラフルで明るいものと判断するのだろう。このため、供花は白い菊の中に紫と黄が交じるように補色した。
この写真を見て、自宅で葬儀を営む光景を懐かしく思い出した人も多いのではないか。かつては「自宅葬」が一般的だった。これも、志ん生が生きた昭和を象徴する光景と言えるだろう。
平成に入ったあたりから、セレモニーホールや葬儀会館などと呼ばれる斎場が増えていき、自宅での葬儀はあまり行われなくなった。理由は、自宅ではなく病院で亡くなる人が増えたことや、マンションなど集合住宅が増えたこと、近所づきあいが薄くなったことなどが指摘されている。