【動画】神聖かまってちゃん 「の子」インタビュー=竹谷俊之撮影 |
5作目のアルバム「楽しいね」で、「自分の中にある躁と鬱(うつ)を曲で表現した」と語る神聖かまってちゃんのボーカル・ギターの「の子」=竹谷俊之撮影 |
テレビ出演の依頼がきたら「ちゃんと歌います。トークもします」とアピールする神聖かまってちゃんのボーカル・ギターの「の子」=竹谷俊之撮影 |
【神庭亮介】4人組バンド「神聖かまってちゃん」が、5作目のアルバム「楽しいね」を出した。題名通り前向きな曲が多いが、一方で持ち味の内省的な歌世界も健在。作詞作曲の「の子」は「自分の中の『躁(そう)と鬱(うつ)』が、そのまま曲に出ている。苦しいけど、病的な面を抱えているからこそ、光と闇の落差を表現できる」と語る。
〈神聖かまってちゃん〉ツイッター質問の一問一答ライブと「の子」インタビューを写真での子が打ち込みで制作した曲をまずネットで発表し、後からバンド演奏してCD化している。今作の収録曲も、大半はネットで無料公開済みだ。「CD化はお金のため。ネットで発表した作品を超えるのは難しい」と割り切りつつ、手応えを感じている曲もある。
「『コンクリートの向こう側へ』はネットで発表した作品を凌駕(りょうが)するものができたと思う。アルバムで一番好きですね」
《仲間を探したい/泣きたいだけじゃない/大きなあかね空が僕の色さ》
そう歌う「仲間を探したい」の次の曲は「友達なんていらない死ね」。解放感あふれる「らんっ!」「鳥みたくあるいてこっ」の後には、リストカットを題材にした「花ちゃんはリスかっ!」。
一体感を増したバンドサウンドが、ポジティブとネガティブの間を乱高下しながら、ポップに疾走する。
の子は「『仲間を探したい』は、別れと出発がテーマ。バンドを解散して新しいことをやりたい、という夢を歌った」と明かす。
え、解散?
「ライブでも何でも、ハードルを越えられないとファンに申し訳ない。俺が真面目になり過ぎちゃって、解散を考えていた時期につくった曲です」
こうして解散危機に陥るたび、メンバーと話し合いを重ね、乗り切ってきたという。
「今はメンバーの気持ちが通じ合ってる。ネット配信とか、俺ができない部分で、みんな頑張ってくれてます」
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神聖かまってちゃんのアルバム「楽しいね」に関する、の子さんへのインタビュー詳細は次の通り。
――タイトルからはポジティブな感じが伝わってきますね。
ベースのちばぎんの発案です。最初は「お薬下さいね」にするつもりだったんですけど、「どうなの?」っていう意見があって、バンドみんなで考えて決めました。
――過去作に比べバンドらしさが増してきているように感じましたが、楽曲制作でもメンバーの意見を採り入れたんですか。
それはあまりないです。俺はあるハードルを越えてくれれば、全部受け入れますけど、メンバーはなかなかハードルを越えてくれないんで。メンバーも自分の立ち位置は分かったうえで、俺のことを信じてくれてるんだと思います。
今回はむしろ、バイオリンやエンジニアのサポートメンバーが「おおー!」ってグッとくるようなアイデアを出してくれました。
――2曲目の「仲間を探したい」は今までになく前向きな印象を受けました。
別れと出発がテーマ。バンドを解散して新しいことをやりたい、という夢を歌った曲ですね。生きていくうえで夢を持つことが大切だと思ってるんで。
7カ月ぐらい前、ツアーでハードルを越えることができなくて、ファンに申し訳なく思っていて。もっとできることがあるはずなのに、できない。もう解散するしかない、と。俺が真面目になり過ぎちゃって、解散を考えていた時期につくった曲です。
――そうやって生まれた曲だとすると、演奏するメンバーの思いも複雑だったのでは。
曲の意図とかはさすがに言えなかったですね。ちばぎんなんか「この曲大好き」って言ってるし(笑)。後でインタビュー読んで驚くんじゃないですか。
――3曲目「友達なんていらない死ね」との落差が激しいですね。
これをつくったころは、落ち込んで、パニクってる感じだったんだと思う。昔からなんですけど、自分の中の『躁(そう)と鬱(うつ)』が、そのまま曲に出るんです。苦しいけど、病的な面も良い面に昇華できるし、それも一つの才能。だからこそ、光と闇の落差をしっかりと表現できる。
――8曲目の「らんっ!」は「メダル」「ランナー」といった言葉が出てきますが、オリンピックを意識してつくったのですか。
つくった時期は近いんですけど、違います。中学校の時、陸上部で長距離選手をしていた影響ですね。今までこういうフィジカル(肉体的)な曲はあまりなかったかもしれない。
――9曲目「鳥みたくあるいてこっ」は鳥なのに飛ばずに「あるいてこっ」というのが面白いですね。
飛んでいきたいですけど、結局、鳥じゃないですから。はいつくばりながら前に行こうって自分を元気づける曲ですね。僕は好きですけど、ファンの間では非常に人気がない曲。曲をアップした時に、「なんだこれ」とか批判されて。傷つきましたよ。