緊急事態に見舞われた女子プロレス「スターダム」のワンダー王座戦で、上谷沙弥(25)が白王者の意地を見せた。

 21日愛知・ドルフィンズアリーナ大会では、V9戦でひめか(25)と対戦。当初は宝城カイリ時代に第8代王者として同王座V8を果たした元WWE戦士・KAIRIを迎え撃つ予定だった。だが、KAIRIに新型コロナウイルス陽性判定が出たため、決戦2日前に欠場が決定。王者が代役に指名したのが、ひめかだった。

 4月に団体最高峰のワールド王者・朱里への挑戦を果たし、開催中のリーグ戦「5★STAR GP」では林下詩美を破って波の乗るひめかは、序盤から持ち前のパワーを生かして猛攻を仕掛けてきた。

 場外マット上へのボディースラム2連発から鉄柱に叩きつけられ、王者の腰は悲鳴を上げた。さらにエグい角度の逆エビ固めにつかまり、苦しい時間帯が続く。

 上谷もカウンターのニールキックで流れを変えると、北斗原爆弾、至近距離からのビッグブーツで応戦。さらにファイヤーバードスプラッシュで追い込む。

 ところが、雪崩式フランケンシュタイナーを狙ったところを、パワーボムで返され首からマットに落下。ここからジャンピングニー、ランニングパワーボムの波状攻撃を食らい、再びピンチを迎える。

 スワンダイブ式攻撃もラリアートで迎撃され、試合時間は20分を経過。それでも、一瞬の隙を見逃さなかった。再び肩に担がれたところで、電光石化のフブキ・ラナ(リバースのウラカン・ラナ)を発射。渾身の力で押さえつけ、逆転の3カウントを奪った。

 ぼうぜんとするひめかに対し、王者はフラフラ状態。見た目はどちらが勝ったのか分からない状況だったが、上谷は「ひめか、強かった。限界のその先を体感して、タイトルマッチができたことをうれしく思います」と挑戦者をたたえた上で「上谷沙弥の歴史は、まだまだ終わらせたくありません。これからもこのベルトを精いっぱい、笑顔にさせていきたいです。誰が何と言おうと、私がスターダムだ!」と絶叫し、長期防衛を見据えた。