もし照ノ富士の復活がなかったらと思うとぞっとする…尾車親方が相撲界の1年振り返る

笑顔で優勝インタビューに答える照ノ富士
笑顔で優勝インタビューに答える照ノ富士

◆大相撲九州場所千秋楽(28日・福岡国際センター)

 横綱・照ノ富士が自身初の全勝を達成し、14日目に決めていた2場所連続6度目の優勝に花を添えた。大関・貴景勝に突き放される場面もあったが、よく見て押し出し。横綱相撲で1年納めの場所を締めた。年間77勝を挙げ、今年1月の初場所の関脇から最高位まで上り詰めた2021年。29日で30歳となるが、22年はさらに盤石の強さで“照ノ富士時代”を築く。来年初場所は1月9日に東京・両国国技館で初日を迎える。

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 今年もコロナ下で苦しい6場所だったが、最後にふさわしい、いい相撲になったと思う。照ノ富士は既に優勝を決めているだけに、余裕があった。押されても慌てなかった。今の照ノ富士と貴景勝の差が出た。貴景勝は目いっぱいだった。

 この1年を振り返ってみると、白鵬の引退という大きなことがあった。その中でも照ノ富士は着々と復活し、相撲内容が変わり、飛躍の年になった。今場所も一人横綱で土俵を守ってくれた。もし彼の復活がなかったらと思うと、ぞっとする。

 来年に目を向けると、綱に一番近いのはひとまず貴景勝だ。今日の悔しさをバネに、照ノ富士に近づいてほしい。正代には奮起を促したい。あとは団子レース。阿炎も今の勢いのままなら、他の者より早く大関になる可能性もある。宇良も来場所は上位に上がる。やはり彼の相撲はおもしろいし、上位陣にも嫌な存在。来年の土俵には、コロナを寄せ付けないくらいの気迫を期待したい。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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