消えゆく「黒電話」マーク…時代とともに変化

消えゆく「黒電話」マーク…時代とともに変化
消えゆく「黒電話」マーク…時代とともに変化
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 多くの印刷物から電話番号を表す記号としてつけられてきた「黒電話」のマークが消えつつある。産経新聞でも昨年秋から黒電話マークを掲載しない方針が示された。デザインのモデルになっている受話器のついたダイヤル式の電話は家庭からすっかり姿を消したからだ。現在では個人で手軽に使えるスマートフォンが主流で、10~20代の若者世代は「マークは知っていても、実際に黒電話を使ったことはない」という声が大半を占めた。このまま黒電話マークは消えてしまうのだろうか。(中井美樹)

JISでは「受話器」マークが採用

 産経新聞は昨年11月上旬、「黒電話」マークを掲載しないことを決めた。問い合わせ先の電話番号を示す場合には、そのまま数字を並べたり、数字の最初に「電話」と漢字で書いている。この傾向は他紙でも同様で、記事中に「黒電話」マークはほとんど使われていない。雑誌を調べてみても、裏表紙に編集部や広告部の電話番号が掲載されているが、「黒電話」マークを使っていたのは、週刊誌「AERA」など数えるほどしかない。

 一方、スマートフォンを見てみると、電話機能を起動させる場所に「受話器」マークがある。言葉が分からなくても誰でも理解できるように公共施設などで使用されている「ピクトグラム」と呼ばれる絵記号でも、電話を示すマークとして受話器をデザインしたマークが一般的になっている。

 ちなみに昭和39(1964)年に開催された東京五輪で、初めてのピクトグラムが全面的に採用されている。その際には電話を表すマークは「黒電話」がモチーフになっていた。

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