NATO、冷戦後最大の軍事演習 北欧中心に5万人規模
【ブリュッセル=森本学】北大西洋条約機構(NATO)は25日から11月7日まで、東西冷戦の終結後では最大規模となる合同軍事演習を行う。北欧の加盟国ノルウェーを中心に、北大西洋やバルト海周辺などで約5万人の兵士らが参加。加盟国が攻撃を受けた場合の部隊の即応能力を強化し、高まるロシアの脅威をけん制するねらいがあるとみられる。
合同演習「トライデント・ジャンクチャー」には、NATOに加盟する29カ国と、非加盟のスウェーデン、フィンランドの計31カ国が参加。戦車など車両約1万台、航空機250機、艦船65隻が動員された。演習はノルウェーが「架空の敵対国」による軍事攻撃を受け、NATO軍がその主権回復をめざすというシナリオに基づく。
NATOのストルテンベルグ事務総長は24日の記者会見で「シナリオは架空だが、我々が学ぶ教訓は現実となるだろう」と指摘。「あらゆる脅威からも同盟国を守る準備ができている」と訴え、NATOが最重視するロシアの脅威への抑止強化のねらいを強くにじませた。演習はロシアの軍当局者の視察も受け入れる。
トランプ米大統領による中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄表明をめぐって米ロや欧ロの緊張が高まるなか、NATOの大規模演習の開催はロシアを刺激する可能性が大きい。
一方、ロシア側も9月、極東やシベリアなどで冷戦終結後で最大規模の軍事演習を実施。中国も参加した同演習にはNATO演習を大きく上回る30万人が動員された。