「米赤字は過剰消費が要因」財務省、来年G20で解消促す

 財務省は来年日本が議長国を務める20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、各国間の経常収支の不均衡について、消費や貯蓄など国内の経済活動を踏まえた解決を促す方針だ。特に米国の経常赤字は過剰な消費体質が原因とし、解消を求めたい考え。ただ、トランプ米政権は内需の強化を重視しているため、説得は難航する可能性がある。

 経常収支は各国の海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す統計。米国の場合、2017年の経常赤字は約4662億ドル(約52兆6800億円)に上り、国際通貨基金(IMF)関係者から米国が過剰な赤字を抱えていると指摘されている。

 米国の大きすぎる経常赤字は世界経済のリスクと位置づけられている。経常赤字は中長期的なドル安の要因で、他国の輸出が阻害され、世界経済の成長が下押しされる懸念があるからだ。G20もこうした事情を問題視しており、今年7月の財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で経常収支の不均衡の緩和を求めた。

 財務省は来年のG20の議長国として、経常収支不均衡の背景にある、各国内での経済活動に着目する考えだ。経済学の基本理論では、国内で行われる投資の額が貯蓄の額を上回った場合、その差額分の経常赤字が発生するとされる。米国の場合、消費が過剰で貯蓄率が低いことに加え、政府による支出も多いため、大幅な経常赤字になっていると分析することができる。

 経常赤字を減らすには貯蓄率を上げることが重要となるため、付加価値税の導入などで消費意欲を冷やすべきだといった意見が出る可能性もある。

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