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グアム移転、負担増えず 米軍再編、日本が米と合意

2012年4月19日9時52分

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 日米両政府は、在沖海兵隊のグアム移転に伴う日本の経費負担の上限を2006年合意の28億ドルとすることで大筋合意した。在日米軍再編見直しで、在沖海兵隊のグアム移転の規模が縮小されることから、日本側は減額を求めたが、米側は増額を要求。上限額を維持することで折り合った。

 野田佳彦首相は18日、玄葉光一郎外相、田中直紀防衛相と会談し、こうした方針を確認。19日の外務・防衛審議官級協議を経て、25日にも日米の外務・防衛担当閣僚名で中間報告を発表する。ただ、金額は明記しないことになった。

 グアム移転費を日本側がどれだけ負担するか。30日に日米首脳会談を控え、日米交渉の焦点だった。

 米側は06年合意で上限とした28億ドルから約41億ドルに増額するよう要求。しかし、沖縄からグアムに移転する海兵隊の規模は約8千人から約4千人に減る。日本側は「増額は国民の理解が得られない」(防衛省幹部)と難色を示してきた。

 その結果、両政府はグアム移転に伴うインフラなどの整備費を06年合意時の102.7億ドルから大幅に減額する一方で、日本の財政支出額の上限は28億ドルのままにすることで大筋合意。自衛隊が共同訓練で使用することを条件に、米自治領北マリアナ諸島テニアン島の米軍基地の整備費を含めた。

 ところが、今回の中間報告とりまとめを前に、米側は28億ドルにその後の物価上昇分を反映した「31億ドル」という金額を明記するよう提案。首相訪米前に交渉をまとめようと明記に前向きな外務省に対し、防衛省は「増額した印象になる」と慎重な構えだった。

 こうした中、来日した米国務省のキャンベル次官補(東アジア・太平洋担当)やルース米駐日大使が16日、田中防衛相や長島昭久首相補佐官、北沢俊美元防衛相に相次いで面会。日本政府関係者によると、キャンベル氏は「首相訪米を成功させるには、中間報告に金額を書かなければいけない」と強調し、「31億ドル」の明記を求めた。日本側は「拙速な議論をすべきではない」と反論した。

 キャンベル氏の要人行脚は米側からの催促という意味合いがあったが、首相周辺は「日本流に言えば恫喝(どうかつ)だ」。16日夜、野田首相がルース氏と会食して金額を盛り込むのは難しいと伝えた。日本側が応分の負担に応じると明記することでやっと決着した。

 一方、中間報告には、米軍嘉手納基地より南の土地返還についても、キャンプ桑江など5施設を詳細に分割して優先順位を盛り込むものの、具体的な返還時期は明記しない方針。沖縄から海外に移転する海兵隊の規模は06年合意の約8千人から約9千人に増やすと記載する。(倉重奈苗)

     ◇

■米軍再編見直し中間報告のポイント

・在沖海兵隊のグアム移転費の日本の財政支出額は2006年合意の28億ドルを維持するものの、中間報告には明記せず

・グアム移転に伴う米軍嘉手納基地より南の土地返還を目指すが時期は盛り込まず

・在沖海兵隊の海外移転規模を06年の米軍再編ロードマップの「約8千人」から「約9千人」に変更

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