国有地値引き 財務省、森友との口裏合わせ認める
学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、財務省が同学園に口裏合わせを依頼していたことが明らかになった。約8億円とされる地中ごみの撤去費用を学園側が負担することで売却額を差し引いたとする政府側のこれまでの根拠が崩れることになる。
口裏合わせの疑惑はNHKが4日に報じ、麻生太郎財務相が事実関係の確認を約束していた。これを受け、財務省の太田充理財局長は9日の参院決算委員会で、値引きの根拠と説明してきたごみの撤去費用に関し、虚偽の説明を森友学園に要請していたと認めた。2017年2月に同省職員が「撤去費用が相当かかった、トラック何千台も走った気がするという言い方をしてはどうか」と持ちかけた。
野党側は、ごみ撤去費用が約8億円の値引きの根拠でなかった場合、財務省による安倍晋三首相夫妻への忖度(そんたく)が影響したのではないかとみている。立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は9日、記者団に「首相夫妻のためではないかという疑念がますます膨らんだ」と指摘した。
佐川宣寿前国税庁長官は3月の証人喚問で「不動産鑑定(価格)は操作できない」と主張。ただ会計検査院は17年11月、値引きの根拠となったごみ推計量は「十分な根拠が確認できず、慎重な検討を欠いていた」と報告した。昭恵首相夫人付職員だった谷査恵子氏が財務省に土地貸し付けについて照会し、森友学園にファクスで回答したことも分かっている。
17年2月17日の衆院予算委では、野党議員が「(8億円分のごみを撤去すれば)ダンプカー4千台分くらいになる」と指摘した。当時理財局長だった佐川氏は同2月20日の衆院予算委で「必要な廃棄物の撤去は適切に行った」と答弁していた。