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【北の富士コラム】全勝は照ノ富士と貴景勝の2人だけ…カギ握るのは御嶽海だろう 鶴竜親方は話し上手

2021年11月21日 05時00分

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霧馬山(右)を突き落としで下す御嶽海

霧馬山(右)を突き落としで下す御嶽海

 7日目の相撲は少しも盛り上がらなかった。特に後半戦はアッという間に勝負が決まる凡戦の連続。テレビ観戦していた私もついウトウトしてしまったぐらいだ。
 だからどんな内容だったか思い出せない。原稿を書く気になれない。貴景勝と照ノ富士の相撲は両者が好調だけに、この日の対戦相手には勝機は薄いと予想していたので、この結果は許せる。しかし残る相撲は引かれてすぐ落ちる。寄られると残せない。こんな相撲ばっかりであった。
 しかし、相撲は面白くなかったが、鶴竜親方と舞の海君の解説者とアナウンサーの話はなるほどと思わせるところがあって、大いにためになった。特に鶴竜親方はいいところを突いていた。
 大栄翔や霧馬山が引かれて前に落ちた相撲を、鋭く指摘していた。鶴竜親方いわく、ともに当たって前に出る時につま先立って上体だけで押しているのが、前に落ちる最大の原因である。まさしく同感である。
 私も若いころは、そんな立ち合いをしていたときもあった。今は亡き出羽錦関に「かかとを上げて押すのは荷車を押すときだけだ」とよく注意を受けたものだ。足先だけで押すと確かに前に出る時はスピードが付くが、横の動きには足が付いていかないのである。
 それから今の力士達の大きさも指摘していた。日本人力士はさぞ耳が痛いことだろう。この話は力士たちだけではなく、指導にあたる親方衆も真剣に考えるべきだ。体が大きくなれば相撲が強くなるというのはもはや幻想である。それと稽古量と内容である。
 その他にも鶴竜親方は時々、冗談も出る。例えば、玉鷲の見事な相撲を年齢をごまかしているのではないかと。舞の海君も懸命に食い下がったが、鶴竜君の勝ちだったようだ。元横綱稀勢の里の荒磯親方といい、鶴竜親方といい、現役時代は口数の少ない代表のようだったが、実に話が上手である。
 私も舞の海君もしっかりしないと、NHKをお払い箱になりそうだ。8日目からもっと真面目にやらねばいけない。早くも中日である。
 阿炎が負けて全勝は照ノ富士と貴景勝の2人だけ。どうやら私の場所前の予想が現実味を帯びてきたようだ。カギを握るのは御嶽海だろう。とにかくもっと面白い相撲を見せてくれ。これまでの内容ならお客さんに申し訳がない。
 それから6日目は失礼しました。何とか約束の時間に間に合いました。そしておいしいおすしをいただいてきました。今場所はなぜか食事に誘われることが多いと思っていたが、その謎が解けました。おそらく私は今年が最後になるらしいとうわさとなり、一席設けてくれているようである。
 そういえば、ここ10年間「今年が最後」と言うのが口癖になっていたと大いに反省しています。来年もまた来ます。きっと来ます。死んでも来ます。それではそろそろ飯にします。本日はルームサービスにしましょう。もつ鍋はもう3度も食べました。鍋焼きうどんも悪くない。
 ではまた明日。
(元横綱)
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