熊本地震の被災地で、避難所の設営などに女性の視点を取り入れた支援が始まっている。避難生活の長期化が懸念されるなか、過去の災害で浮き彫りになったプライバシーの確保や防犯、乳幼児を抱える母親の悩みなど多様なニーズに応える取り組みの重要性が増している。
避難所となっている熊本市中央区の城東小学校体育館では、24日から南日本段ボール工業組合が提供した簡易式間仕切りとベッドの使用が始まった。避難中の新田尚子さん(34)は「段ボールの壁が目隠しになって安心感がある。更衣室もでき、車の中で着替えなくて済む」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
避難生活が長引くにつれ、プライバシーの確保や防犯は大きな課題になる。特に女性は、着替えや授乳、防犯などに不安を感じる人が少なくない。内閣府は15日付で、熊本県と熊本市に対し、更衣室の設置や女性による生理用品の配布などを求める通知を出した。
「減災と男女共同参画研修推進センター」の浅野幸子共同代表は「東日本大震災では『着替えの場所がない』『嫌がらせで隣に寝に来る男性がいる』といった声があった。しかし、男性が運営の中心になることが多いので、女性は声を上げにくい」と指摘する。