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3大関は全員内容が悪過ぎる…すぐ引く貴景勝、闘志感じられない朝乃山、バタバタ正代【北の富士コラム】

2021年3月21日 05時00分

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霧馬山(左)が朝乃山を送り出しで破る

霧馬山(左)が朝乃山を送り出しで破る

 十両で炎鵬の全勝が消えた。今場所は離れて取る相撲で好結果を出していたが、今日は長身の東龍に右の上手を取らせてしまった。これが敗因のすべてだ。小さい力士が上手から攻められると、圧力で動けなくなる。炎鵬から動きを取ると何もない。明日からは下から攻める相撲に専念しよう。
 宇良も今のところ元気いっぱいだ。2人の優勝争いをどうしても見たいものだ。そして早く幕に帰って魔法使いのような面白い相撲を見せてもらいたい。ファンはそれを首を長くして待っている。では7日目の幕内の相撲を振り返ろうか。
 前半はこれと言って説明する相撲は残念だが見当たらない。こんな日もある。後半はさすがに熱戦が見られた。1敗の妙義龍が若隆景に敗れた。これは番狂わせと見て良いだろう。
 三役の経験も長く今場所は絶好調の妙義龍が勝つと見ていたが、どっこい若隆景が妙義龍のうまさを上回る技能的な相撲で勝った。これで3勝。勝ち星は少ないが今場所は内容が良い。うまさは元来持ってはいたが、今場所はうまさに加わって力強い相撲となっていた。渋い雰囲気を残す良い力士である。
 北勝富士は押しの阿武咲を一気に押し出して一日の長を見せた。十分に三賞を狙える相撲内容である。取り終わった後、必ず目の上あたりを流血させて激しさを一段と物語るのも悪くない。顔のキズは男の勲章である。高安は不利な体勢からよく我慢して宝富士に逆転勝ちを収めた。「人間辛抱だ」は初代若乃花の言葉だが、苦しくても我慢することが勝ちにつながる。
 大栄翔にようやく本来の相撲が戻ってきた。今や押しも押されもせぬ三役力士の隆の勝を一気に押し出した。これで明日からの相撲も変わるだろう。隆の勝はめずらしく気の抜けた立ち合いを見せてしまった。今後気を付けた方がいい。照ノ富士は強敵と見られた御嶽海をあっさり一蹴した。改めて強さを感じさせた一番であった。
 3大関は全員相撲内容が悪過ぎる。貴景勝はせっかくいい立ち合いをしてもすぐに引く。少しクセになってきているようだ。これでは勝ち越しも心配になってきた。朝乃山は右差しをうまく引っかけられ体勢を崩し、そのまま土俵を割った。どうも朝乃山に闘志が感じられないのだが、皆さんにはどう映りますか。鉄は熱いうちに打てというが朝乃山はもうすっかり冷えきったのではあるまいか。
 正代は勝つには勝ったがバタバタと逃げ回り、土俵際でやっと上手を引いて逆転した。解説するほどの相撲じゃないのでやめておこう。両横綱の休場の穴を埋めるのが大関の仕事だが、今のままではそれは無理だろう。展望でも大関陣には期待はしないと書いたが、そんな予想は当たらない方がいいに決まっている。今ならまだ間に合う。せいぜい頑張ることである。
 それでは原稿を送って飯にします。イカと里イモの煮っころがしがうまそうです。それからお待ちかねの京都「蘭」のさば寿司。早速おいしく頂きます。
 それではお休みなさい。ご機嫌よう。(元横綱)
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