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海外投資家は厳しい視線 トヨタ総会、会場と温度差

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トヨタ自動車の株主総会(同社提供)

トヨタ自動車の株主総会(同社提供)

 トヨタ自動車が14日開いた定時株主総会は、海外投資家の反対表明で注目された豊田章男会長の取締役再任を賛成多数で可決し終了した。愛知県豊田市の会場では株主から豊田氏に感謝する声が相次ぎ温度差が際立ったが、取締役会の構成で独立役員の増員やメンバーの多様性を求める海外投資家の視線は厳しくなっている。

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 「十分な数の独立した取締役がいない」。機関投資家に影響力を持つ米議決権行使助言大手グラスルイスは、独立性が不十分だとして、その責任者である豊田氏の選任案に反対を推奨していた。米カリフォルニア州退職年金基金(カルパース)などは事前に反対票を投じた。トヨタは今回、取締役会構成で10人中4人を独立役員とし、前年の9人中3人から増やした。しかし、企業統治の強化を求める海外投資家は過半数を要求する。

 日産自動車が27日に開く株主総会では、内田誠社長の取締役選任案に対し、グラスルイスが環境面での取り組みが不十分として反対を推奨している。3月のキヤノンの株主総会では、御手洗冨士夫会長兼社長の再任に対する賛成率が50.59%と薄氷の可決だった。

 機関投資家は株主還元策だけではなく、取締役会のメンバー構成や環境対応などで幅広い対話を企業に求めるようになっている。こうした動向についてNTTの島田明社長は、気候変動対策など「世界的な潮流になっている課題については対応せざるを得ない」と話す。

 企業が投資家とのコミュニケーションを強化しなければ、会社提案への異議は今後も増える可能性がある。不断の企業統治改革は日本企業共通の課題となりそうだ。

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