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【カイルア・コナ(米ハワイ州)=後藤香代】米ハワイ州マウイ島の山火事で、被災地に一時帰還した住民は骨組みだけとなった家屋を目の当たりにして、ぼう然とした。ハリケーンによる強風が干ばつに重なり、火の手は急速に広がったようだ。空中からの消火活動も強風で難航し、被害拡大の要因になったとみられる。
島西部ラハイナでは11日、一時帰還が認められた。崩落した自宅で、住民の男性は米CNNの取材に「すべてが破壊され、失った」と涙を浮かべて語った。
マウイ島では2000棟以上の建物が壊滅的な被害を受け、地元メディアは「ハワイ史上最悪の自然災害」と報じた。現場は焼け落ちた樹木や建物などでがれきの山と化し、灰色の景色が広がっていた。マウイ郡トップのリチャード・ビッセン氏は11日、米ABCニュースのインタビューで「爆弾が爆発したようだ。ほとんどの建物が崩落してしまった」と述べた。
米NBCによると、山火事が発生した8日は、ハリケーン「ドーラ」がハワイ諸島の南を通過し、強風に見舞われるタイミングだった。
米国立気象局などによると7日以降、ハワイ諸島各地で秒速26メートル前後の強風を観測した。観光名所が集まるラハイナでは8日、最大秒速約35メートルの強風を記録し、火の手が瞬く間に街を覆い尽くしたという。
ラハイナの住民は米紙ニューヨーク・タイムズの取材に「空があっという間に暗くなり、火の海となった」と語った。同紙によると、地元の消防署長が記者会見で「火の手があまりに急速だった」と説明し、避難指示を出すのが「ほぼ不可能だった」と述べた。火の手に追い詰められ、海に飛び込む人も相次いだという。
NBCは「干ばつが破壊的な火災を招いた」という専門家の話を紹介した。NBCによると、マウイ島での干ばつは5月から急速に進み、山火事が発生した8月第2週までに島の8割以上が中度~重度の干ばつに見舞われていた。