大正期の滑り台が文化財に 埼玉の小学校、今も現役
埼玉県宮代町立百間(もんま)小学校の滑り台が、国の登録有形文化財になることが決まった。設置されたのは1926年で、大正時代に鉄筋コンクリートで作られた滑り台の現存例は希少と評価された。何度も修理し、児童に親しまれてきた現役の遊具で、登録後も今まで通りに使われる。
11月中旬、昼休みを迎えた児童が校庭の滑り台に駆け寄り、あっという間に順番待ちの列ができた。歓声を上げ、繰り返し並ぶ子も。2年の早水玲奈さん(8)は「スピードが出て楽しい。文化財に登録されると聞いてびっくりした」と顔をほころばせた。
高さ約3メートルで斜度は約30度。滑走面はコンクリートに玉石などを混ぜて磨き、なめらかにしている。鮮やかな水色のペンキが塗られているが、手すりなど所々に補修の跡も見える。
百間小は1873年創立。滑り台が設置された詳しい経緯は不明だが、支柱の銘板に「大正拾五年十一月二十八日」「寄附者 野口丈左ヱ門」と記されている。町によると、野口氏は地元で建築業を営んでいたという。
今月15日、国の文化審議会が文部科学相に答申し、文化財登録が決まった。文化庁によると、今後は大規模な改修をする際に届け出なければならないが、遊具として使うのは問題ない。
山口隆夫校長(53)は「日常的に子どもたちが遊んでおり、誇らしい。ずっと大事にしていきたい」と話している。〔共同〕