ソ連時代の再現? 旧日本軍将兵も強制労働させられたシベリア鉄道工事、コロナ禍の労働力不足で受刑者動員へ

2021年6月27日 21時54分
 【ウラジオストク=小柳悠志】ロシア極東ハバロフスク地方で、受刑者が極東とシベリアを結ぶ「バム鉄道」の複線化工事に従事させられることになった。新型コロナウイルス禍で外国人労働力が不足しているためだが、現地メディアでは、シベリア抑留での日本人将兵らによる強制労働になぞらえる向きもあり、話題になっている。
 ロシア通信によると、ハバロフスク地方の囚人を鉄道の近代化工事に充てることで、刑務当局とバム鉄道が今月中旬に合意。同地方の刑務当局トップのドロヒン氏は「囚人らを労働に移したい」と述べた。
 ロシアではコロナ禍を受けた経済低迷により、経済を支えてきた中央アジアからの出稼ぎ労働者が帰国。また国連安保理の対北制裁で北朝鮮人労働者がロシアに残れない状況が続き、バム鉄道の貨物輸送拡大に向けた複線化工事が遅れていた。
 スターリン時代のソ連では1930~50年代、工業化や運河開削のため、各地で収容所の政治犯らが工事現場に送り込まれた。第2次大戦後、ソ連赤軍によって連行された旧日本軍の将兵ら約60万人もバム鉄道やシベリア鉄道などの強制労働に就かされ、6万人以上が死亡している。
 米国系メディア「ラジオ・リバティ」(電子版)は「囚人を強制労働に就かせることは、ソ連の政治的迫害を想起させる」と批判的に報じている。

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