河井克行被告

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で公選法違反罪に問われた元法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=の第9回公判が4日、東京地裁であった。弁護人を解任した影響で中断していた審理が約1カ月半ぶりに再開した。克行被告は出廷したが、発言の機会はなかった。

 この日は地裁と検察側、弁護側が今後の日程を協議。16、19日に検察側が陣営スタッフや自民党本部の元職員たちの供述調書を朗読し、26日から証人尋問を再開すると決めた。26日は今田良治広島市議と克行被告の光元博美公設第2秘書、27日は平本徹、下原康充両広島県議が証言する。

 克行被告から計50万円を受け取ったとされる今田市議は9月28日に尋問予定だったが、弁護人解任の影響で延期されていた。平本、下原両県議は、9月中旬にあった克行被告の妻案里被告(47)=参院広島=の公判に出廷。案里被告から現金を受け取り、参院選の応援依頼だったと証言した。

 両被告の公判は8月25日に始まり、当初は同じ法廷で審理されていたが、過密日程などに不満を持つ克行被告が9月15日に弁護人6人を全員解任。弁護人なしでは開廷できないため、地裁は翌16日に両被告の公判を分離し、案里被告の審理を先行させてきた。

 克行被告は10月20日に新たな主任弁護人を選任し、弁護団を解任前の6人から7人に増やした。7人のうち、5人は解任された弁護士が再任された。

 起訴状によると、克行被告は昨年3~8月、案里被告を当選させる目的で地方議員や後援会員ら100人に計2901万円を渡し、うち5人について案里被告と共謀して計170万円を渡した疑い。両被告は現金提供の事実をおおむね認める一方で、買収の意図を否定し無罪を主張している。

【法廷やりとり詳報】

日程を協議、26日から秘書や県議尋問

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