【コラム】この世界の空気を吸って、歌え~UVERworld“I LOVE THE WORLD”の愛の形~

【コラム】この世界の空気を吸って、歌え~UVERworld“I LOVE THE WORLD”の愛の形~

目下、12月末までスケジュールされた全国ツアーの真っ最中。東京と神戸での結成15周年&デビュー10周年記念LIVEに、「QUEEN’S PARTY(女祭り)」や「KING’S PARADE(男祭り)」も控えているUVERworldが、本日8月26日にニューシングル『I LOVE THE WORLD』をリリースした。

“I LOVE THE WORLD”ミュージックビデオ

表題曲“I LOVE THE WORLD”は、すでに公開されているMVからも明らかなように、バンド史上最も貪欲にプログレッシヴハウスのサウンドをとりいれたナンバーだ。彼らはもともと、ハウスを含めたエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)や、ヒップホップやソウルやジャズ、ブルースやフォークといったさまざまな音楽的要素を取り込んで独自のロックへと昇華させてきたバンドだが、ここまで大胆に現代的なダンス・ミュージックへとシンパシーを寄せる楽曲は、過去に例がない。MVのライヴ風景に用いられている舞台はLEDやレーザーが煌めくクラブの空間であり、セクシーなダンサーたちまでもが映り込んでいる。

でも、誤解しないでほしいのは、UVERworldがこの曲で楽天的なダンスミュージックをやっているわけではない、ということだ。何より、TAKUYA∞は楽曲の冒頭で《Rock》とシャウトを一発かましている。ここにはUVERworldでしかありえない、強烈なアティテュードとメッセージがあるはずだ。まず、思い出してほしいのは、前作シングル“僕の言葉ではない これは僕達の言葉”の歌詞に込められていた、こんな1行である。

《気付けばもう心に 愛し抜くべきものばかり》

このフレーズは、“I LOVE THE WORLD”の歌詞と密接にリンクしているように僕は思う。デビューから10年に及ぶキャリアの中で、「生きる」というシリアスなテーマに踏み込み続け、反骨精神を研ぎ澄ませてきたUVERworld。当初からの大きな支持に甘んじることなく、熱いメッセージと演奏によって男性ファンが増えた喜びを露にし、今夏初出演したROCK IN JAPAN FESTIVALでは「こんな俺たちでもカッコいいって言ってくれる人を大切にして、UVERworldはやってきたから」とTAKUYA∞は言った。

彼らは、「生きる」という戦いの中で、愛すべきものを見つけたのだ。“I LOVE THE WORLD”では、そのことに気づけ、と呼び掛けている。これまで睨みつけていた世界の底から、より大切なものを抉り出そうとしている。とても攻撃的で、UVERworldらしい愛のメッセージだ。現代型のハウスサウンドは、まるで今の社会を覆う空気そのものである。彼らはその空気を思い切り吸い込み、自分たちの息吹として“I LOVE THE WORLD”を鳴らし、歌う。深呼吸の後には、何が始まるのだろう。これまでに観たこともないような、UVERworldの凄まじい疾走が始まる予感が、しないだろうか。(小池宏和)
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