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iPS細胞(人工多能性幹細胞)から心臓の筋肉細胞のシートを作り、重い心臓病患者に移植する治験を進めてきた大阪大などの研究チームは19日、計画していた8例の移植を終了した、と発表した。いずれも経過は順調で、ほとんどの患者が社会復帰できたという。チームは2025年頃の実用化を目指す。
チームの澤芳樹・阪大特任教授らが記者会見した。
対象は、血管が詰まって心臓の一部が
チームは、人のiPS細胞から心筋細胞を作り、直径3・5センチ、厚さ0・1ミリのシート状に加工。20年1月~今年3月、阪大と順天堂大、九州大、東京女子医科大の4大学で患者計8人に対し、1人当たり約1億個の細胞で作ったシート3枚を心臓に貼り付けた。
澤特任教授によると、全例で安全性を確認でき、7例で有効性が認められたという。今後、治験データの分析と、移植後半年間の経過観察を行い、再生医療等製品として厚生労働省に承認申請する予定だ。会見には今年3月に東京女子医科大で手術を受けた60歳代女性も同席し、「手術を受けるかどうか悩んだが、家族の後押しがあって決心した。今は少しずつ元気が出てきており、勇気を持って受けてよかった」と話した。