北朝鮮「独裁化と粛清を通じた恐怖政治が続いている」 中国「尖閣支配の取り組みは実行段階」 防衛研が「東アジア戦略概観」で警鐘

 防衛省のシンクタンク・防衛研究所は14日、日本周辺の安全保障環境を分析した「東アジア戦略概観2017」を発表した。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や6回目の核実験に向けた動きをみせる北朝鮮については「日本を含む地域と世界の安全保障にとって一層深刻な脅威となりつつある」と指摘。

 強引な海洋進出を続ける中国は「尖閣諸島(沖縄県石垣市)の実効支配に向けた取り組みを実行する段階に入った可能性もある」として警鐘を鳴らした。

 北朝鮮に関しては金正恩朝鮮労働党委員長による「独裁化と粛清を通じた恐怖政治が続いている」とした上で、相次ぐ弾道ミサイルの発射を通じて射程や精度、固体燃料の使用や連続発射といった能力が「全般的に向上している」と指摘。

 日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」は発射の兆候を把握することが困難で「奇襲性はより高まる」と強調し、昨年8月に発射された潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が日本の防空識別圏内に着弾した事例を挙げて「一層重大かつ差し迫った脅威になりつつある」とした。

 また、過去5回の核実験を通じて「核兵器の小型化・弾頭化に成功している可能性はある」と分析し、弾道ミサイル防衛(BMD)と米国による「核の傘」を柱とした拡大抑止の強化に向けた取り組みを促した。

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