トルコ南部テロ、50人死亡 「イスラム国」か
【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ南部ガジアンテプで20日夜、屋外で行われていた結婚式会場で爆発が起きた。地元県知事によると少なくとも50人が死亡した。自爆テロとみられる。犯行声明は出ていないが、エルドアン大統領は声明で、過激派組織「イスラム国」(IS)が「最も可能性の高い犯行者」だと指摘。犯行を非難した。
少数民族クルド人主体の野党、国民民主主義党(HDP)は声明で、党員の結婚式が標的となったと明らかにした。犠牲者には女性や子供も含まれているという。
ガジアンテプは内戦が続くシリア国境に近い南部の中心都市。シリアからの難民が多数流入し、郊外には政府の難民キャンプもある。戦闘員の潜伏も指摘されている。
ISはシリア北部のクルド人勢力と激しい衝突を繰り返すなど敵対関係にある。トルコ国内では、2015年10月、首都アンカラでクルド人を狙った大規模な自爆テロが起き約100人が死亡した。今年6月にはイスタンブールの国際空港で外国人を含む45人が死亡する自爆テロが起きた。いずれもISの犯行とみられている。
トルコでは7月に軍の一部によるクーデター未遂事件が起きたばかり。当日の戦闘や、その後の軍人や警察官の解任・停職処分の拡大でテロなどの対処能力の低下が懸念されている。非合法武装組織クルド労働者党(PKK)の活動も活発化しており、8月17~18日にかけては東部3県で爆弾テロや襲撃が相次いでいた。こうした不安定な状況に、本拠地での劣勢を挽回したいISがつけ込んだ可能性もある。