アシアナ航空、売却交渉破談へ コロナで暗礁
【ソウル=細川幸太郎】経営再建中の韓国アシアナ航空の売却交渉が破談する見通しとなった。アシアナ向けの債権を持つ銀行団と、買い手の建設大手HDC現代産業開発との条件交渉が4日までに決裂した。新型コロナウイルスの影響で航空需要が急減したことで、HDC側が買収条件の見直しを求めていた。
交渉関係者によると、8月下旬に銀行団のまとめ役となる政府系の韓国産業銀行とHDCのトップが会談し、銀行側はアシアナの債務減免などを認めた上でHDC側にも譲歩を求めた。ただHDC側は航空産業の経営環境の変化が大きすぎるとして譲歩の姿勢を見せず交渉が決裂したという。
アシアナ航空を巡っては、2019年4月に錦湖(クムホ)アシアナグループが自社の経営危機に伴い中核のアシアナ航空を売却すると発表。同年12月にはHDCが約2300億円で買収することで基本合意を結んだ。ただ20年2月以降に新型コロナの影響でアシアナ航空の事業計画が暗転し収益見通しが立たなくなった。HDC側は銀行団らと買収条件などの再交渉を続けてきた。
HDCが基本合意を放棄することでアシアナはいったん銀行団の管理下に置かれる可能性もある。銀行関係者は来年以降に再び売却手続きを始める考えを示しており、アシアナ売却の手続きは曲折を経てゼロからの仕切り直しとなりそうだ。
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