時代も主人公も異なる7つ+αのオムニバスストーリーと、個性的なシナリオやバトルシステムでいまなお根強い人気を誇る名作RPG『ライブアライブ』。スーパーファミコン版の発売から約28年の時を経てHD-2Dリメイク版が2022年7月22日にスクウェア・エニックスより発売される(開発はスクウェア・エニックスとヒストリア)。

 本記事ではNintendo Switch向けに生まれ変わった本作製品版を事前に遊んだプレイレビューをお届け。なお、基本的にストーリーのネタバレはないが、ラストに開放されるシナリオも少し含んだ内容となっているので、「完全にネタバレなしで遊びたい!」という方はご注意を!(個人的にはそのプレイスタイルもとてもおすすめしたい)。

ユニークすぎる伝説的RPG

 1994年9月にスーパーファミコン向けに発売されたオリジナル版『ライブアライブ』。当時のスクウェア(現スクウェア・エニックス)は、前年1993年には『ロマンシング サガ2』、同年の1994年4月には『ファイナルファンタジーVI』を発売。同社らしいハイクオリティーかつファンタジー要素の強いRPGを発売していた。

 そんな中発売された『ライブアライブ』は、当時としても異彩を放つタイトルで、小学館のマンガ雑誌に連載する若手マンガ家たちによるキャラクターデザインや、時代や世界が異なる多彩な主人公、RPGではあるが戦闘はシミュレーションっぽいバトルシステムなど、たまらない独特の魅力を放つ作品だった。

 ディレクター・シナリオを担当していた時田貴司氏(リメイク版ではプロデューサーを務める)ならではのエッセンスがふんだんに盛り込まれており、熱いストーリー展開・名ゼリフの数々も大きな魅力だった。

Switch『ライブアライブ』レビュー。遊びやすさが向上しまくりなHD-2Dリメイク! 伝説的RPGの魅力が昇華されて現代で味わえる絶品
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(スーパーファミコン版『ライブアライブ』)

HD-2Dでリメイク!

 そんな『ライブアライブ』が、『オクトパストラベラー』などで知られる“HD-2D”で今回リメイクされた。美麗かつ滑らかに動くドット絵と、ドット絵のよさを残しながらもキャラクターにマッチする3D背景で、当時の思い出が高解像度化されたようなグラフィックを実現している。

 とくにキャラクターのドットはすばらしく「こんな1シーンのためだけに描いたの!?」というようなポーズ、動作がメチャクチャ多い。各シーンのドラマに合わせた動作や、技ごとのバトルモーションも大きな見どころだ。

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 また、リメイク版では新たにキャラクターボイスを収録しており、これがかなり豪華声優陣で驚いた。

 本作は根元にダークなテーマが潜んでいたりはするが、オリジナル版は全体的に見れば明るい雰囲気の作品だったように思う。各シーンはグラフィック表現での演出のほか、声優陣たちの演技により、全体的にはよりシリアスになった印象を受ける。一歩だけ大人っぽい作品に仕上がっているようなイメージだ。

 BGMは原曲の作曲者である下村陽子氏により全曲監修されており、おおむねオリジナル版BGMをそのまま豪華にしたかのようなサウンドになっていて、筆者としては全体的に大満足。個人的な好みによる部分では、一部の曲に「ああ、そういう方向のアレンジでくるのか!」とちょっと驚いた部分もあるが、それはそれで楽しめた。

 ちょっとした要素ではあるが、メニュー画面を開くとその状況、仲間の数などでメニュー画面右に表示されるキャラクターたちがいろいろなポーズやアニメーションを見せてくれる。オマケ的な部分かもしれないが、世界の雰囲気やキャラクター性がより広がって見えるほか、単純に見ていてほほえましい要素だった。

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遊びやすさが格段にアップ

 基本的にはオリジナル版の要素をそのまま踏襲しているが、全体的に遊びやすさの向上が図られている。たとえば新要素のミニレーダーはエリアの移動先などを示してくれ、赤い印にさえ向かっていれば物語は進められるので、基本的に迷うことがなくなった。

 一部シナリオでは全体マップもあるが詳細な位置情報まではつかめないという塩梅。探索の楽しさ自体は損なわれていない。

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 また、バトルならびに育成面もかなり楽になったように思う。たとえばエンカウント率はグッと下げられておりテンポよく物語を進められる(シンボルエンカウントのシナリオは別として)。それでいて経験値がオリジナル版よりも得やすくなっておりレベル上げ自体もやりやすい。

 すべてのシナリオでそうだったのだが、エンカウントした敵から逃げずに倒していけばそれのみでクリアーできるくらいのレベル上げの時間を特別に設ける必要がない程度の調整になっていた。だからといって難度が大幅に下がって“ヌルく”感じるというほどではなく、現代に向けた調整がうまくいっているといった感じ。

 そのほかにも、各シナリオごとに細かく便利な要素が追加・変更されている。これらも含め全体的に「オリジナル版のよさを残しつつ、それでいて遊びやすくブラッシュアップされている」というのがリメイク版『ライブアライブ』全体から感じた感想だ。

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チェッカーバトルもわかりやすい

 “チェッカーバトル”は、ターンごとにキャラクターを移動させたり、コマンドで行動を決めて戦うシミュレーションゲームのようなバトル。技には攻撃範囲が設定されており、うまく使い分けながら戦っていく。

 リメイク版では敵の弱点や技の属性、追加効果などが明確に表示されるようになり戦略が立てやすくなった。また、「使ってみないとどんな技かわからない」ということもなく、弱点を突いた際のダメージがかなり大きい。なので「この技だけでいい」という単純な戦いかたではなく、いろいろな技を使い分ける戦術がより広がっているように感じた(キャラクターにもよるが)。

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 開発陣からお話を聞いて驚いたのは、本作で表示されるようになった“行動ゲージ”について。

 チェッカーバトルは、オリジナル版では内部パラメータの“行動ポイント”を参照して、敵味方の行動順が決められていた。本作ではそれが可視化され、“行動ゲージ”として表示されるようになり、敵・味方のキャラクターがどう動くのがわかりやすく考えられるようになった。

 じつは内部システム的には完全なる別モノとのことで、“行動ポイントが可視化されたように見えるけれども、処理自体はオリジナルシステム”になっているそうだ。プレイしていて筆者としては「ああこういう感じで行動ポイントが回っていたのか」と思っていたのだが、まさにそう感じさせるよう新たに作られたというのがスゴイ。

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各シナリオについて

 ここからは各編の簡潔なあらすじと、遊んでみての感想をお届け。なお、本作はどのシナリオからも遊び始めていいのはオリジナル版と同じ。追加要素として中断セーブが可能で、中断したままほかのシナリオを遊びはじめることも可能となっている。もし複数シナリオを同時進行したくなったり、または序盤で気が変わったりしたら活用してみてほしい。

原始編

 言葉のない時代、部族の集落に住む少年・ポゴは、相棒のゴリとともに生活をしていた。あるとき異部族のべるが助けを求めに逃げ込むのだが、ポゴはべるにひと目惚れ。ポゴはゴリとともに、べるを守るために戦っていく。

 言葉がないので基本的にセリフテキストはなく、キャラクターアニメーションとアイコンで、なんとなくの会話劇がくり広げられる。オリジナル版と違いアニメーションが豊かになったこと、そして「ウホ!」などの鳴き声のようなものではあるが、ボイスがあるのでポゴたちの感情がよりつかみやすくなった。

 ボイス・キャラクターグラフィックの進化は原始編がいちばん恩恵を受けているように思う。

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 アイテム合成は“何が作れるのかお楽しみ”という要素は残しつつも、素材自体が敵から比較的手に入りやすくなって素材集めに時間が取られることはさほどなくなった印象。

 ストーリー進行とは別に隠し要素も多いが、こちらもオリジナル版を踏襲している。序盤にある原始人を一定数部屋に呼び込むことでアイテムが手に入る要素は人数当てクイズに変更されており、気軽にチャレンジできるイベントになった。

 ゴリやライバルのざきは、一部技はアレがアレでアレなのだが、表現などがマイルドに変化している。別にそんなアソコはオリジナル版のように「こうじゃないと!」とは思わないし、これはこれで笑えるものとなっているのでアリかなと(苦笑)。

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功夫編

 中国の山奥に住む拳法の達人・心山拳老師が、継承者となる弟子を探し求める。中盤からは敵の拳法家集団・義破門団を倒すために、ダンジョン内で戦闘を続けていくバトル重視の展開となる。オリジナル版では拳法の名前を用意された文字でしか入力できなかったが、本作では文字種が豊富になっているので北斗〇拳や鼻毛〇拳だろうが何でも入力可能だ。

 弟子を集めるパートや育成部分はほとんど同じ(ボイスが付いた名ゼリフの数々は必見)。ユン、サモ、レイの3人からひとりの継承者を決めて、育成しよう。本作より初プレイの人がいたら教えておきたいポイントは、いちばん育成した弟子が継承者となりほかのふたりは仲間から離脱するという点。

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 そのため、ひとりに絞って育成すると損がない。オリジナル版ではとくにユンに発生しがちだったのだが、特定の状況で技を覚えられない不具合があった。本作ではそれはなくなっているので、とくに気にせずに育成しよう。

 ラスト付近にいる、とあるアイテムをレアドロップする敵もやはり同様にレアドロップする様子(ドロップ率が変わっているかもしれないが)。ちなみに、おいしそうな“桃まん”は健在じゃな。

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西部編

 賞金首のガンマンであるサンダウン・キッドが、ライバルのマッド・ドッグと、そして街の人たちと協力して、荒くれ者集団であるクレイジー・バンチを撃退するシナリオ。町の中に罠を仕掛けるパートがメインで、戦闘要素はボスバトルにほぼ集約されている。

 8つの鐘が鳴るとクレイジー・バンチ戦となるが、本作では時間の進行度が表示されるようになった。探索はレーダーのおかげでやりやすくなり、どこを探索したのかメモらなくても把握できるようになったのがありがたいところ。短いシナリオではあるが細かな調整が光っている。

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 ラスト付近の罠の発動はどれもアニメーションの作り込みがすばらしいので、ぜひ全達成をしてみてほしい。なお、オリジナル版のアレは“アニーの日記”となった。まあ、筆者的にはここはいいかなと。サンダウン・キッドはシブいままでいてほしいし!

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幕末編

 密命を受けた忍び・おぼろ丸が、敵城に捕らわれた要人を救う任務を遂行するシナリオ。任務を遂行と言ってはいるが、忍びをやめて抜け忍になるルートがあったりと、自由度の高いプレイが楽しめる。イベントもかなり多く、網羅するとなると本作イチのボリュームを誇る。

 幕末編はもとの難易度が高めだったこともあり、かなり手厚く便利にチューニングされている印象。合言葉の変更タイミングのたびに、おぼろ丸がつぶやいてくれたり、何なら間違えてしまっても戦闘から逃げられるようになっている。

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 隠し扉などはレーダーによって「このあたりにありそうだ」と目星を付けて探索できるし、一部ギミックは解除したときにカメラワークでどこが変化したのかなど、明確に表示されるため、迷いやすい城の中でもオリジナル版よりも楽に探索ができる。

 強制戦闘が減ったため、やり込み要素のひとつである“0人斬り”もかなりやりやすい。仲間のひとり“カラクリ丸”のボイスや、姫君との会話でのボイスにはついつい笑ってしまったので、必聴!

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現代編

 現代編は天才格闘家・高原日勝が最強を目指して戦う、バトル特化シナリオ。敵の技を受けるとその技を覚える“ラーニング”を駆使して6人+ボスを倒す、対戦格闘ゲームのようなシナリオとなっている。

 基本的にはオリジナル版のままだが、ステージ背景がより豪華になっていたり、高原の細かな戦闘アニメーションなど、やはりバトルも見どころになっている。バトルの弱点表記などのおかげで、全体的なバトルプランも取りやすくなった。また、倒した敵とも再戦できるので取り逃した技を覚え直せるように。

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 オリジナル版は森部生士(じーさん)の技が強くて「これだけでいいんじゃ」状態だったが、本作ではほかの技も使いやすくなっているほか、敵の弱点を突くことがより重要になっているため、いろいろな技を使い分ける楽しみが生まれたように感じる。

 とはいえ森部のじーさんの奥義はやはり強く、ラストは“浴びせ蹴り”だけで勝ててしまったりと、オリジナルの味わいそのままのところもある(笑)。あと、ファンにとってはちょっと残念なのが、本作はステータス名が“知力”ではなく“特攻”なので、ファンからの愛称(?)である、高原=知力25というおなじみのワードは残念ながら消えてしまった。高原にとってはうれしいことだろうが!

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近未来編

 超能力をもつ少年・アキラが、暴走族クルセイダーズによる誘拐事件などに巻き込まれ、最後には町全体を救うために大きな陰謀へ立ち向かっていく。前半は特撮ヒーローもの、後半は大型ロボット“ブリキ大王”へと乗り込むロボットもの……といった雰囲気の熱血シナリオだ。

 全体的にはオリジナル版を踏襲しているが、オリジナル版では通常の会話ではなく“心を読まないと進まない”という場面がわかりにくかった。本作はレーダーのガイドのおかげで、特定の人物がカギとなることがわかるので、その人へ話し掛けるか心を読めばよく、進めやすくなっている。

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 RPG的には序盤のアキラの頼りなさは残りつつも、レベル上げ自体が楽になったのもあり全体的に少し使いやすくなった印象。とはいえ、やり応えはたくさん残っており、とくに中盤以降の筑波での戦いは装備や育成をしていないと、なかなかの歯ごたえとなっている。

 後半のブリキ大王はマジでカッコよく、とくに戦闘モーションはもうスゴイ(語彙力喪失)。どの技も滑らかかつド派手に動くこともあり、巨大ロボを動かしている感が強くて「うおおおおお!!」とメチャクチャに興奮した。

 ちなみに現代編などもそうなのだが、細かく描き直された“敵の背中”もぜひ確認してほしい。背面のグラフィックも用意されているのだが、ボスをすぐ倒してしまうと前面しか見られず、なんだかもったいない……!

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 隠し要素の“妙子の◯◯”系アイテムは名称が変わっており、これもしかたないのかなぁと思いつつも、ダジャレ的な意味合いが変わってしまうので近未来編では正直残してほしいところだった。また、ピアノを弾くとときおりチョコボのテーマが流れるのは残っている。

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SF編

 舞台は宇宙船内部。主人公は、エンジニアのカトゥーに作られたAI搭載ロボット・キューブだ。一見なごやかなムードの中で輸送任務を進めていた搭乗員たちだったが、乗組員の死や、危険生物の脱走が発覚。宇宙船という密室空間の中でまき起こる、ホラーサスペンスシナリオだ。

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 バトルはごく少なく、会話だけでくり広げるアドベンチャー的な内容。難点を挙げるとすれば、何度も何度も階層を行き来するエレベーターは、もう少しスムーズに移動したかったかなとも思う(スキップ機能でシーンは多少短縮できる)。オマケの“キャプテンスクウェア”もやり応えを残しつつも、遊びやすさが向上していてグッド。

 キューブたちを襲うベヒーモスは、オリジナル版では仲間たちと同じサイズのグラフィックだったこともあり、ちょっとカワイイオオカミが襲ってくるレベルのイメージだったが、本作では10倍くらいのサイズで登場し、ホラー度が大幅アップ。「その図体でどうやって階層移動してるんだ」みたいな疑問も生まれるが(笑)。

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中世編

 新たな勇者となったオルステッドが、攫われた姫を救うべく、親友のストレイボウ、元勇者のハッシュらと、再度魔王討伐を目指す、ファンタジーシナリオ。オリジナル版同様に、上記7つのシナリオをクリアーすることで開放される。

 システム的にはいちばんオーソドックスなRPGで、レベルを上げながら装備を集めて戦っていく古風な作りは健在。また、シナリオ上で「あそこに一度行ったのに、戻ってからまた行かないといけない」など、何度も行き来する昔ながらのRPG的なルートもそのままだ。ただ、一部プロセスは省略されているようなのでそのぶん遊びやすくはなっている。

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 エンカウント率がオリジナル版よりも低く、戦闘とシナリオ進行がちょうどいい塩梅になったように思う。また、レベル上げをせずとも最後まで進行できるだろうが、逃げてばかりだと難しくなる。

 なお、原作版ではアイテム(宝箱)を取らないでおくと、のちに強力なアイテムへと変化する要素があったが、本作ではアイテムを取っても影響がない(強力なアイテムはそのまま後で手に入る)ので気にせず取っていい。

 あと、これは全体的にも言えるのだが、デフォルメ名の名前はボイスで主人公(または拳法)の名前を呼んでほしかったなと感じた。やはりラスト付近の、あの有名なセリフは名前含めて叫んで欲しかった。

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そして物語は集結する……

 そして最後には、“最終編”が開放される。最終編ではこれまでの主人公(功夫編は継承者)を選び、ボスを倒すために戦っていく。各世界の主人公たちが集結し共闘するシナリオで、ここまでレベルが上がらなかった仲間たちも全員レベルが上がっていく。

 細かいことは省略するが、ほかの8つのシナリオで体感した遊びやすさがそのまま最終編にも生きている。功夫編の後継者選びの面では、最終編を遊ぶ前に功夫編を再度遊べばユン・レイ・サモに切り替えられるので、周回プレイを省略できるのも便利なところだ。

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HD-2Dリメイクの礎となるか

 リメイク版『ライブアライブ』は、オリジナル版のよさをそのまま踏襲しつつ、いろいろなところで数々の調整が加えられている。とくに2022年現在のプレイヤーに向けて遊びやすさを重視し、丁寧にチューニングされているのが細かいところからも垣間見えた。

 リメイクというのはいろいろな方法・手段があると思うが、今回のリメイク版『ライブアライブ』は、原作のよさを今風に置き換えつつ、現代のプレイヤーにお届けする最善の手段であるように筆者は感じた。HD-2Dでのリメイクというのは、もちろん見た目の美しさが最大の魅力になるポイントではあるが「ただグラフィックをHD-2Dスタイルにすればいい」というわけではなく、まずは純粋にゲームとしての手触りや遊びの部分が大事になるのだろう。本作の丁寧なリメイクに改めてそのように感じた。

 本リメイクにおける難点をひとつだけ挙げるとすれば、シナリオ選択時やとくにフィールドの狭いSF編や西部編におけるマップ移動の際に入るロードがそれなりに頻繁にあり多少気に掛かる(読み込み時間が長いわけではないが、原作がロード時間のないスーパーファミコンだったということもあり)。同じHD-2DでリメイクされるRPGでは、現在『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が開発中だが、このあたりは改善されてほしいところ。

 さて、改めて本作についてまとめておくと、原作『ライブアライブ』ファンは間違いなく買い。これから初めて遊ぶ人にも、ぜひこれを機会に『ライブアライブ』を知ってほしいと思える一本だ。

Switch『ライブアライブ』レビュー。遊びやすさが向上しまくりなHD-2Dリメイク! 伝説的RPGの魅力が昇華されて現代で味わえる絶品

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