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旅在新加坡〜旅はシンガポールから

シンガポールから、羽田にただいま!

2010年11月2日12時32分

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写真:羽田へ向けて降下していく機内から見た東京の早朝の景色。かなり綺麗なイルミネーションでした(電子機器使用が禁止になる前に撮影したものです)拡大羽田へ向けて降下していく機内から見た東京の早朝の景色。かなり綺麗なイルミネーションでした(電子機器使用が禁止になる前に撮影したものです)

写真:夜明けの羽田空港に到着した私の乗ってきた飛行機。シンガポールからお疲れさま拡大夜明けの羽田空港に到着した私の乗ってきた飛行機。シンガポールからお疲れさま

 東京都心から成田まで約2時間。そこから約7時間かかるシンガポール。ところがシンガポールのチャンギ空港からタクシーで10分のところに住んでいる私にとって、羽田からシンガポール便が4便も飛ぶ、というニュースは「長かった…一つの時代が終わった…!」という感慨が押し寄せてくるほどうれしいです。

 東南アジア有数の大都市として君臨するシンガポールのイメージは、清潔で、経済成長中で、惜しむらくは「世界3大がっかり」のマーライオン?という感じかもしれません。

 ところが、シンガポール在住者にとって、この国の別名は「明るい北朝鮮」。

 表向きは華やかですが、政府の管理が行き届き過ぎていて国民が総ブロイラー化している、なんてことも言われます。

 たとえば外国人が旅行していていても目にする、何でもかんでも罰金、罰金、また罰金…の表示。バスや地下鉄にドリアンを持ち込んだら罰金です。ここ数年、メタボ水準に達した人にはメタボ税がかけられる?なんてまことしやかなうわさまで流れています。

 シンガポールには隣国マレーシアとのつらい歴史がありました。小さい場所で多民族を管理するには強権的な政府が必要、というスタンスにシンガポール政府は立っているのでしょう。

 ですが、だからと言ってこわ〜い場所ではありません。

 なんといっても熱帯の国。近くにあるマレーシアやタイ、インドネシアなどと根底は変わりません。ここは国、というよりアジアの「ポイント」。中国人、マレー人、インド人、もちろんほかにも多種多様な国の人々が行き交い、うごめき、そしてのんびり暮らしています。

 一獲千金のシンガポールドリームを目指す何カ国語も操る各地商人、中国本土から来て、なまった中国語しか話さない全身汚れた期間労働者。香港、ドバイ、そしてシンガポールを行き来するアジア担当の欧米人サラリーマン、シンガポールの空がきれいで星が読みやすいから、という理由で住むインド人占師。大陸中国では廃れてしまって久しい道教寺院の祭りを厳かに行う中国南部出身者…。

 作家の金子光晴がその昔、「マレー蘭印紀行」で描写したシンガポールと今のシンガポールはさほど変わっていないようにも思います。新旧さえ混沌(こんとん)とした文化混合地、アジアのポイント、それがシンガポールです。

 そんなシンガポールをこよなく愛する私が今回久しぶりに日本へ帰るきっかけとなったのが、なぜか安く売られたチケットでした。羽田に着いたら帰宅するにも便利でいいなー、でもちょっと値段高いなーなんて漠然と思っていたところ、なんと、全日空の羽田便就航からたった3日間だけ発売される格安チケット情報が!

 当然のごとくなかなか入手できなかったのを、途中で必死になり死守。あれ?私、何が目的で日本へ帰るんだっけ…?と我に返ったときには既に両手にチケットがあったのでした。

 今年はシンガポールからの訪日者数、日本からのシンガポール訪問者数、共に増加中とか。このまま続けば恐らく利用者の数も増えるであろう、羽田便。今回の入手のいきさつを考えると、結局値段さえ安ければ皆乗りたい便なんだろうなあ、なんてしみじみ実感いたしました。

 低迷中の航空業界、起爆剤の路線になるように祈っています!

■羽田便に乗りました!

 手にしたのは全日空のNH152便のチケット。22時発、会社帰りに余裕余裕ー♪と思っていたら残業でバタバタのままチャンギ空港へ。ラウンジでシャワーを浴びて、ゲートまで行ったらあんなに焦ったはずだったのになんと一番乗りでした…。

 私の乗ったフライトは乗客の対比、7:3くらいでシンガポーリアンが多めのよう。空席もあり、さほど込んでいる印象は受けませんでしたが目的は旅行の方が多いようで、ビジネスマンは少なめでした。

 すぐ乗れるよう搭乗口付近に控えていましたら、パイロットの2人が「よっしゃ、行くぞ!」とお互いに声をかけていて、思わず私もよっしゃ、羽田まで行くぞ!と気合が入りました。

 定刻通りに出発。ところが離陸後のアナウンスで、羽田到着5時45分とか!

 少々気合入り過ぎです!……というのも、個人的には羽田到着後の交通手段の確保が、あまりにも朝早過ぎて少し心配だったのです。

 映画を見たり、朝食をいただいたりしているうちにあっという間に到着のアナウンス。実際の到着時間は5時35分と更に速まっていました。

 少々感動してしまったのが、まだほの暗いの東京の夜(?)景。海の合間に房総半島の形がくっきり見えたり、東京の埋め立て地の明かりが近づいたりして来るとあっという間に到着していました。

 ちょっと成田では体験できない、どちらかというと関空の風情に近いような風景。ちょうど朝日も昇って来て、天気がよかったこともあり絶景でした!

 入国手続きや税関は、やはり外国人が多いせいで込んでいましたが、日本人のカウンターはがらがらでスムーズに通り抜け、バゲッジクレームもあっという間。荷物が出て来るまであと何分、という表示があったのにはちょっと感動してしまいました!

 到着ロビーは成田と比べて少々無機質で閑散とした印象でしたが、逆に言えばシンプルで迷わないようにできているのかもしれません。

 大きく全面にはられた窓も、きれいな空が見えてなかなかステキでした。

 いつの間にか便利なチャンギ空港に慣れさせられてる感もありますが、一つ難点を言えば、降機した通路にカートがなかったこと。おみやげをいっぱい手にしていると、どうにも入国手続きまでの通路が長く感じます。

 さて、心配した交通手段ですが思ったよりも本数も多く、心配しなくても大丈夫のよう!私は東京モノレールを使いましたが、断続的に次の列車があり、問題なく乗車することができました。6時3分に国際ターミナル駅を出発し、6時半には東京駅で新幹線の切符を買っていました。

 通勤通学途中のサラリーマンや学生と一緒になるんじゃないか…との懸念も、思っていたほどでもなく払拭(ふっしょく)されました。

 朝食を食べられる所やコンビニが到着ロビーには見当たらなかったので、今後そういったところもできるといいな、と思いました。

 とにかくスムーズに全部が終了し、あれ?出国入国手続きってこんな簡単だったっけ?と思うほど。

 是非是非便利&快適になった羽田からシンガポールへ来てみてください!

 次回からは私が暮らしているシンガポールについて紹介していきますね。

プロフィール

さき・かづみ

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 中国茶と三国志に思いを馳せて幾星霜。本に書いてあった中国と全然違うじゃないかっ!と現代中国人及び中国に時には裏切られ、時には助けられ、中国茶に癒されながら北に南に移動を繰り返し、気がつけば良くも悪くも中華圏での生活10年生。中華漂うまだ見ぬディープなアジア世界を追い求め続けています。

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