写真1●「就職活動の時期」について議論しているサイト。自動処理のアイディアボックスを利用している
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写真2●「英語学習の初等教育への導入」について議論しているサイト。リディラバのTRAPROを利用
写真2●「英語学習の初等教育への導入」について議論しているサイト。リディラバのTRAPROを利用
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写真3●左から東京大学公共政策大学院非常勤講師 兼 経済産業省 CIO補佐官 平本健二氏、東京大学公共政策大学院 林志洋氏、高津宏明氏
写真3●左から東京大学公共政策大学院非常勤講師 兼 経済産業省 CIO補佐官 平本健二氏、東京大学公共政策大学院 林志洋氏、高津宏明氏
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 東京大学公共政策大学院のゼミ「事例研究(行政近代とICT I(オープンガバメント))」では、情報技術を使うことで政府と国民の対話を進めるための研究を行なっている。実際にWebサイトで「就職活動」「英語教育」「憲法改正」の3つのテーマについて議論。広く一般からの意見を募集している。

 同ゼミは、東京大学公共政策大学院の教員である奥村裕一氏、平本健二氏、坂井修一氏が担当を務める。「これからの政策はICTの活用が必須。オープンガバメントを体感しながら学ぶために実際に運営する」(平本氏)。平本氏は東京大学公共政策大学院非常勤講師であると同時に経済産業省 CIO補佐官。経済産業省のオープンガバメント施策である国民参加サイト「経済産業省アイディアボックス」などにも携わった(関連記事:国民との対話が生んだ、経産省ネット審議会の劇的コスト削減)。

 ゼミの学生約20人が3チームに分かれ、それぞれのテーマでサイトで意見を募集、議論する。Aチームのテーマは「就職活動の時期」。政府、財界で現在議論となっている、新卒採用活動を3か月遅らせることの是非に関して、最終的なアウトプットを政策提言の形で行うことを目標としている。ゼミの学生である高津宏明氏は「『長くすべき』『もっと短くすべき』『1年生で入社パスを』など様々な意見があり、雇用形態全体まで話が広がる」と語る。

 Bチームのテーマは「英語学習の初等教育への導入」。学生の林志洋氏は「話し合われた成果を実際に文部科学省など、教育政策に携わる機関にぶつけたい」と話す。「英語の早期教育をやるとしたら誰がどのように教えるのか議論を深めたい」(林氏)。

 議論のためのプラットフォームとして、「英語教育」のBチームは「TRAPRO」、「就職活動」のAチームと「憲法改正」のCチームは「アイディアボックス」を利用している。TRAPROは、学生が中心になって運営してる一般社団法人リディラバの「問題意識」を共有し議論できるWebサイト。一方のアイディアボックスは、経済産業省アイディアボックスの開発を担当した高木祐介氏が設立した企業である自動処理が運営するアイディア募集と議論のためのWebサイト。

 経済産業省アイディアボックスでは、寄せられたアイデアの中から「経済産業省のニュースリリースのRSS化」や「Twitterによる情報発信」、外字問題を解決するための「文字情報基盤の構築」などが実現した。将来の政策立案を担う学生が、オープンガバメントを実際に体験しICTにより多くの参加者の意見を集約する意義は大きい。

■変更履歴
写真3を一部変更しました。 [2013/09/02 18:45]