地方スーパー1兆円同盟 地域超え資本提携
アークスとバロー、リテールパートナーズの3社
アークスとバローホールディングス(HD)、リテールパートナーズの食品スーパー3社は25日、資本業務提携すると発表した。第三者割当増資などで株式を相互に持ち合う。ドラッグストアの出店攻勢や地方の人口減でスーパーを取り巻く環境は厳しさを増す。仕入れの共通化などで収益体質を強化し、再編で規模を拡大するイオンなどへの抵抗力を高める。
「流通企業の結集軸になる」。25日、都内で記者会見したリテールパートナーズの田中康男社長は強調した。アークスの横山清社長も「全国横断のネットワークができたので、今までと違う形で連携できる」と語る。
3社は「新日本スーパーマーケット同盟」と名付け、株式を持ち合う。19年1月中旬にアークスとバローがそれぞれ、他の2社に株式の2.3%超を約30億円で割り当てる。リテールもアークスとバローに各30億円で6.7%ずつを割り当てる。合わせて1兆円を超える事業規模を生かし、調達や物流の連携を進める。
アークスは北海道が地盤で、2018年2月期の売上高は5139億円。バローは中部地方を拠点に、18年3月期の売上高は5440億円。リテールは九州・山口が地盤で、18年2月期の売上高は2289億円。
都市部への人口集中や、ドラッグストアやネット通販の台頭で、地方スーパーの経営は厳しさを増す。イオンは10月、全国6地域の食品スーパー事業を再編し、愛媛が拠点のフジとの資本業務提携も発表した。セブン&アイHDも中国地方が地盤のイズミと業務提携すると発表するなど、大手を核に再編が進む。
アークスなどはイオンやセブンの動きに対抗する第三極をつくり、地方スーパーの受け皿とする狙いがある。バローの田代正美会長兼社長は「どれだけの企業が参加してくれるかが一番のポイントだ」とし、3兆円規模の流通グループを形成したい考えを示した。
セルフレジ化やキャッシュレス化が進む中、システム投資の負担も地方スーパーの重荷になっている。3社はキャッシュレスなど次世代型店舗の分野でも共同で研究開発し、競争力を高める。
経営統合については、「いずれするかもしれないが、今は考えていない」(横山社長)と否定した。