結審となる公判に出廷するため、東京地裁にタクシーで入る案里被告(撮影・浜岡学)

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、広島県議ら5人に計170万円を渡したとして公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の第29回公判が23日、東京地裁であった。弁護側が最終弁論で無罪を主張し、約4カ月にわたった公判は結審した。判決は来年1月21日に言い渡される。検察側は懲役1年6月を求刑し、5年間の公民権停止を求めている。

 罰金刑以上が言い渡されて確定すれば、案里被告は失職する。

 案里被告側はこれまでの公判で、参院選前に県議ら5人へ提供した現金の趣旨について「県議選の当選祝いや陣中見舞いであり、買収の目的はない」などと主張。県議ら5人が被買収の罪で立件されていないことから「起訴されないとの約束の下で供述調書が作成され、供述の任意性、信用性を認めることができない」などと捜査の不当性も強調し、無罪を訴えている。

 一方、検察側は今月15日の論告求刑公判で、「現金は買収の目的だった」などと認めた県議ら5人の証言について「議員の職を失うことにもつながりかねない自己に不利な内容。合理的で十分信用できる」と述べ、現金の趣旨は案里被告への集票依頼だったと指摘。「選挙の公正さに対する国民の信頼を失墜させた。反省の情も皆無」と非難し、懲役1年6月を求刑した。

 起訴状によると、案里被告は夫で元法相の克行被告(57)=衆院広島3区=と共謀して昨年3~6月、参院選に当選するために県議4人と江田島市議1人に計170万円を渡したとされる。

 克行被告は、県議ら100人に2901万円を配ったとして東京地裁で公判中。9月に弁護団を解任して公判が一時中断した影響で、公判は大幅に遅れており、判決は来春以降にずれ込む公算が大きい。

【公判の詳報】

弁護側の最終弁論<1>
弁護側の最終弁論<2>
弁護側の最終弁論<3>
弁護側の最終弁論<4>
弁護側の最終弁論<5>
弁護側の最終弁論<6>
弁護側の最終弁論<7>
弁護側の最終弁論<8>
弁護側の最終弁論<9>
被告の最終意見陳述