名古屋の入管施設で死亡したスリランカ人女性の遺族らが、女性が亡くなる直前の様子を映した監視カメラの映像を公開しました。

スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)はおととし3月、名古屋の入管施設で死亡し、遺族側は国に損害賠償を求める訴えを起こしています。

遺族側はさきほど、裁判で国側が提出したウィシュマさんが亡くなるまでの監視カメラの映像の一部のうち、5分間分を公開しました。

映像では2月23日、ウィシュマさんが「病院に連れて行って」と懇願し、職員が「今日いけるかわからない」と応じる様子も映されています。

この問題で当時の体制の不備を認めた国側の調査報告書によりますと、入管職員の多くはこの時期、受診の結果などからウィシュマさんの体調不良の訴えについて、仮放免許可に向けたアピールとして実際よりも誇張して主張しているのではと疑っていたということです。

動画公開について遺族側は、来週にも入管法改正案が国会で審議入りする予定の中、「収容の実態、非人道性などを知っていただく必要があると考えた」としています。

また、「国が提供した映像をもってしても、『鼻から牛乳や』『薬きまってる?』などの職員らの問題のある言動については記録されていない」として、引き続き国が保有している295時間すべての映像の公開を求めています。

ウィシュマさんの死亡をめぐり国の報告書では当時、名古屋入管に常勤医師がいなかったことも問題としてあげられて、名古屋入管では今月から常勤医師が勤務しています。