毎夏に計100万人前後の客足を誇る鎌倉市内の海水浴場のネーミングライツ(命名権)について、市は15日、「鳩(はと)サブレー」で知られる豊島屋(本店・同市小町)と年間1200万円で契約すると発表した。期間は2022年度までの10年間。
対象は由比ガ浜、材木座、腰越の3カ所。同社は今後、地名に冠する愛称を全国から公募し、来夏のシーズンから導入する見通しだ。社名や商品名は除く方針で、広告効果より「鎌倉らしさ」(同社)を優先する。
同日に会見した久保田陽彦社長(52)は「広く市民に親しんでもらえる愛称にしたい」と述べた。市の公募条件は3年以上で年間100万円以上だった。条件を大幅に上回る提示について、「鎌倉で生まれ育った恩返し」「変な名前を付けられたら嫌だなと思った」と明かした。
松尾崇市長は「(同社の提示に)鎌倉への愛着が表れていて、ありがたい」と感謝した。市は広報や案内板などで愛称をPR。収入は年間約4千万円の海水浴場の維持運営費に充てる。
市は3~4月に命名権者を公募し、企業8社(市内2社、市外6社)と市外の個人1人が応募した。契約額、期間、企業・個人の適性を総合的に比較評価し、同社との契約を決めた。
同社は1894年に創業し、2012年の年商は約60億円。県内と東京都内に計29店舗を構える。
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