中国の李克強前首相が急死、68歳 習体制下で存在感低下
[北京 27日 ロイター] - 中国の李克強前首相が心臓発作で死去したと、国営メディアが27日に伝えた。68歳だった。
国営テレビCCTVは、李氏が「上海でここ数日療養していたが、26日に突然心臓発作を起こし、蘇生のための全力の努力もかなわず、27日午前0時10分に死去した」と伝えた。
李氏は2013年から10年にわたり習近平国家主席の下で首相を務め、今年3月に退任した。
一時は共産党指導者の最有力候補とみられていたが、近年は習氏が権力掌握を強める中、存在感が低下していた。
北京大学卒の経済学者で、より自由な市場経済の支持者とされていたが、国家統制を強める習氏の意向に従わざるを得なかった。
李氏は20年、中国の6億人の人々が月140ドル相当に満たない所得しか得られていないと述べ、貧困や所得格差を巡る議論を呼んだ。
22年8月には、中国経済の改革開放を進めた指導者、鄧小平の銅像に花輪を捧げ、「改革開放は止まらない。長江と黄河は逆流しない」と明言。この演説の動画は拡散されたが、習体制批判と見なされ、検閲対象となった。
李氏の訃報を受け、中国のソーシャルメディアには悲しみと衝撃が広がり、一部の政府系ウェブサイトは喪に服して白黒表示となっている。
中国の知識人やリベラル派メンバーからは、李氏の死を悼むとともに、時代の終わりを告げるとの声も聞かれた。
米ワシントンのスティムソン・センターの中国担当ディレクター、ユン・サン氏は「李氏は改革派の代表と見なされてきたが、首相を務めた10年間のうちに、中国では多くの政策が後退した」と語った。
李氏は共産党の幹部育成組織である共産主義青年団(共青団)出身で、同じ共青団出身の胡錦濤元国家主席の側近だった。だが、習氏は12年に党総書記に就任すると、共青団出身者からなる派閥の解体に踏み切った。
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