現代重、大宇と統合承認 臨時株主総会で
労組妨害で突然の会場変更
【ソウル=山田健一】造船世界最大手の韓国・現代重工業は31日、韓国同業大手の大宇造船海洋との経営統合が議題の臨時株主総会を開催した。総会は現代重が提案した統合のスキームを承認して終了した。ただ、労働組合は統合後の余剰人員の削減を懸念して総会の開催を妨害。当日の朝に会場が急きょ、変更されるなど、今後の経営に不安を残した。
現代重グループは、56%の大宇株をもつ政府系金融機関の韓国産業銀行と共同出資会社をつくり、現代重や大宇などが傘下に入る。南東部の蔚山(ウルサン)で開かれた総会では、現代重を共同出資会社のベースとなる会社と本業の造船会社などに分割する議案がはかられ、株主の3分の2以上の賛成で認められた。
共同出資会社は、現代重グループの持ち株会社が約29%、産業銀行が約8%それぞれ出資する見通し。社名は韓国造船海洋が有力だ。
日本の国土交通省がまとめた世界の船舶市場データ(2017年)によると、現代重グループと大宇の建造量は合計1554万総トンで、合算の世界シェアは約23%。00年以降で初めて20%を上回る「巨人」が誕生し、日中韓の間で規模の競争が加速する。
現代重は6月にも韓国公正取引委員会に統合の許可を申請する。その後、日中や欧州で独禁当局の許可を得る手続きに進む。韓国が高いシェアを握る液化天然ガス(LNG)運搬船をめぐる審議が統合のハードルになるとの見方もある。