オバマ民主、歴史的大敗 中間選挙 共和が上下院制す
【ワシントン=吉野直也】米中間選挙は4日(日本時間5日)に開票があり、オバマ大統領が率いる与党の民主党は大敗を喫した。野党の共和党は下院の多数派を維持したうえで議席を上積みし、上院では8年ぶりに過半数を奪還した。共和が上下両院を制することでオバマ氏は一段と厳しい政権運営を強いられる。
連邦議会の現有議席は上院(定数100)で民主55、共和45。下院(定数435)は民主199、共和233、欠員3だった。今回の選挙では上院の36議席(辞職などに伴う特別選挙の2議席を含む)と、下院の全議席が改選対象になった。
米CNNテレビなどによると、米東部時間5日午前11時(日本時間6日午前1時)時点で上院の当選確実は民主11、共和22となり、非改選議席と合わせて民主45、共和52と多数派が逆転した。下院の当選確実は民主174、共和243だった。下院は共和が1946年の選挙で最多を記録した246に迫り、歴史的な圧勝となった。
南部ルイジアナ州の上院選では過半数に届く候補が出ず、12月6日の決選投票に進むことになった。保守色が強い同州では共和候補に勢いがあるとみられている。
議会の主導権は共和に移る。上院は条約批准や政府高官、大使らの人事を承認する権限を持つ。任期があと2年のオバマ氏が共和に譲歩を重ねる展開も予想される。テロとの戦いや中ロ外交、財政、環太平洋経済連携協定(TPP)など懸案の処理に響きそうだ。
ケンタッキー州上院選で共和の議席を守ったマコネル院内総務は4日、オバマ氏と民主の出方を見極める考えを示した。共和の知事のリーダーであるニュージャージー州のクリスティー知事も5日朝の米ABCテレビ番組で「オバマ氏には共和のマコネル氏やベイナー下院議長と同じテーブルにつき、米国のため一致できる課題で話し合いを求めたい」と訴えた。
一方、民主のリード上院院内総務は5日未明、声明を出し、マコネル氏に電話で祝意を伝えたことを明らかにした。同時に「両党の協力を望むという有権者のメッセージは明確だ。中間所得層のためにマコネル氏と協力することを楽しみにしている」と力説した。
オバマ氏は5日午後、記者会見に臨む。7日には上下両院の与野党の指導者をホワイトハウスに招いて政策の進め方などを協議する予定だ。
中間選挙では36の州知事選もあり、これまでに共和が24州、民主が8州で勝った。次の大統領選を見据え、共和は州での地盤を広げた形だ。
共和の各候補は過激派「イスラム国」やエボラ出血熱への対応を巡ってオバマ氏の指導力不足を批判し、民主候補に悪い印象を重ねる作戦を展開した。オバマ氏は有権者の関心が高い経済分野で実績を訴えたが、あまり浸透しなかった。