レバノン元首相暗殺事件 ヒズボラ構成員1人に有罪判決

2020年8月19日 12時31分
 【カイロ=蜘手美鶴】レバノンで2005年に起きたラフィク・ハリリ元首相暗殺事件を裁く国際特別法廷(オランダ・ハーグ)は18日、殺人やテロ行為などの罪に問われたレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」構成員4人のうち1人に有罪判決を言い渡した。同事件で初の判決。ロイター通信が伝えた。
 有罪判決を受けたのは、ヒズボラのサリム・アイヤシュ被告(56)で、残り3被告は「証拠不十分」で無罪とした。
 判決は携帯電話の通信記録などから有罪を認定し「犯行は政治的な理由だった」と指摘。ヒズボラの組織的関与については「ハリリ氏を排除する動機はあったかもしれないが殺害に関与した証拠はない」と述べた。
 事件は05年2月、ハリリ氏の車列がベイルート市内で自爆テロ攻撃を受けた。当時、レバノンではシリア軍の駐留を巡って、ヒズボラなど親シリア派とハリリ氏ら反シリア派が対立。ヒズボラやシリア政府の関与が疑われていた。14年から公判が始まり、被告はいずれも欠席していた。
 レバノンでは4日に起きた大規模爆発の影響で内閣が総辞職し政治混迷に陥っており、判決が不安定化に拍車をかける可能性もある。

関連キーワード


おすすめ情報