安保理、ロヒンギャ問題で議長声明を採択 決議から譲歩 軍事力行使の停止を求める

 【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会は6日、ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題で、ミャンマー政府に対し、「さらなる過剰な軍事力行使」を止めるよう求める議長声明を採択した。ミャンマー政府に強い圧力をかけたい英仏は当初、決議案採択を目指したが、常任理事国で拒否権を持つ中国などが難色を示し、法的拘束力のない議長声明に譲歩した。

 議長声明の採択には安保理の全理事国の賛成が必要。安保理の一致した意思を示す狙いがあり、重要度は報道声明より高い。

 議長声明では、60万人以上が家を追われる事態となったミャンマー・ラカイン州での「広範囲な暴力」を強く非難。ミャンマー治安部隊によるものを含め、ロヒンギャに対する「人権侵害や虐待の報告」に「重大な懸念」を表明した。また、ロヒンギャへの人道支援が依然として制限されていると指摘し、国連などが、安全で制限のない支援を提供できるようミャンマー政府に求めた。

 採択後、英国のアレン国連次席大使は会見で、「安保理ではミャンマー問題で10年近く共同の声明を採択できていなかったが、今日は結束を示すことができた」と強調。一方、安保理の会合に出席したミャンマーのハウ・ド・スアン国連大使は、「議長声明はわれわれの問題解決に向けた努力を助けるものではなく、むしろ異なる宗教間の緊張を高めることになる」と批判した。

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