大阪最古の地域寄席「田辺寄席」会員減で存続危機…800回記念公演もピンチ

20日に開かれた田辺寄席。危機的状況を聞きつけたファンが詰めかけた=大阪市阿倍野区(田辺寄席提供)
20日に開かれた田辺寄席。危機的状況を聞きつけたファンが詰めかけた=大阪市阿倍野区(田辺寄席提供)

 ボランティアの世話人会が運営し、住民が育ててきた地域寄席「田辺寄席」(大阪市阿倍野区)が存続の危機にひんしている。43年の歴史を刻んできたが、会員減少による財政難で10月に予定している「800回記念公演」の開催も危ぶまれる状況。同世話人会では一人でも多くの人に来場してほしいと訴えている。

 田辺寄席がスタートしたのは昭和49年。当初は月1回の開催だったが、いまは毎月第3土、日に開かれ、20、21日の「皐月(さつき)席」で787回を数えた大阪で最も古い地域寄席だ。

 自治体の補助金や企業の大口寄付などは一切受けず、個人会員の年会費と入場会費、カンパだけを収入源に、演者側代表の落語家、桂文太さんとともに演目の決定から高座作り、チラシ、ポスター、会報誌も手作りし、田辺寄席独自のファンを開拓。同時に「上方の落語家はほぼ全員、田辺寄席の高座にあがっている」といわれるほど多彩な出演者も人気を呼び、満員御礼の地域寄席として知られていた。

 それが、700人を超えていた会員数がここ数年で半減。席が埋まらない日も見られるようになった。世話人会前代表で現在、会員更新の任にあたる大久保敏さん(70)は、「娯楽の多様化、会員の高齢化など原因はあるが、落語ブームにおごって、支えてもらっている一人一人への気配りがおろそかになっていた」と話す。

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