東大病院が投薬ミス 幼児死亡、影響した可能性
東京大病院(東京・文京)は31日、2015年に看護師が入院中の就学前の男児に薬を誤投与する医療事故があったと発表した。男児は翌日に死亡した。薬の取り違えが原因で「男児の死亡に何らかの影響を与えた可能性がある」としている。病院は遺族に謝罪し、経緯をホームページで公表した。
病院によると、薬の誤投与は、多臓器障害のため重篤だった男児に対し、胃に内服薬を注入する処置をした際に発生した。看護師は内服薬を準備後、電話対応などのため作業をいったん中断。再開する際、近くにあった別の患者の内服薬と取り違えた。
看護師は名前など投与時の最終確認をせず、薬の取り違えに気付かなかった。別の患者は男児よりも体格が大きく、男児にとっては薬の量が多すぎたという。遺族の弁護士によると、抗てんかん薬など13種類の薬剤が誤投与され、十数分後に男児の容体が悪化した。
東大病院は事故調査委員会を設置。死亡に影響を与えた可能性があるとする一方で「どの程度影響したかは判断できない」としている。
男児の母親は弁護士を通じ「調剤されてから一度も誰のチェックも受けずに投与された。実効的な再発防止策がとられ、今後同様の事故が繰り返されないことを願う」とのコメントを出した。
東大病院は再発防止策として、内服薬をバーコードで管理し、投与前のチェックで誤投与を防ぐシステムの導入を進める。「患者と家族に深くおわびする。改善に取り組む」としている。