玄妙な中合いで「戸辺攻め」継続、「イシケン」無念の逆転負け<4組・戸辺誠七段-石井健太郎六段>
完了しました
竜王戦ランキング戦4組2回戦は戸辺誠七段が石井健太郎六段に141手で勝利しました。
先手の戸辺七段が得意の中飛車穴熊で、石井六段は居飛車の対抗形となった本局。夕方から激しく局面が動きました。戸辺七段は上着を脱ぎ、脇息を引き寄せて読みふけると、石井六段も上着を脱いで黙考していました。
終盤、石井六段が攻防の△9三角(図)を放ちました。ここから▲3一金△同銀に▲7五歩と玄妙な中合いを見せた戸辺七段。観戦した高見泰地七段は「石井六段の角打ちは、いい手に見えます。ただ、戸辺七段の攻めも後手玉の嫌みをついていて、難解な将棋です」と語りました。
夕食休憩の時間帯、早めに戻って考え込んでいた石井六段。前傾姿勢になり、攻めるか、受けるか悩ましげな様子でした。丹念な受けを選んだ石井六段が優位な終盤戦でしたが、寄せ方を間違えて、戸辺七段が逆転勝ちとなりました。
局後、戸辺七段は「攻めの方向性がひどかった」と話し、石井六段は「形勢は良いと思っていましたが…」と無念そうに語りました。勝った戸辺七段は次戦で本田奎五段と対戦します。(吉田祐也)
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