カザフスタン内閣総辞職 燃料上げでデモ、大統領宅占拠
【モスクワ=桑本太】中央アジアのカザフスタンで5日、トカエフ大統領が内閣総辞職を承認した。燃料に使う液化石油ガス(LPG)価格の高騰を背景に抗議デモが各地で広がった。同国最大都市のアルマトイでは政府の施設などがデモ隊に襲撃され、タス通信によると大統領居宅が占拠された。
内閣総辞職でデモの沈静化を狙う。マミン首相が辞任し、スマイロフ第1副首相が代行に就くと発表した。他の閣僚は新内閣発足まで暫定的に職務にとどまる。
エネルギー価格の上昇を受け、1日にLPG価格が2021年に比べ約2倍に引き上げられた。引き上げ幅が大きかったことなどから、2日に西部で抗議デモが発生し、アルマトイなどにも広がった。
トカエフ氏は国内の経済状況に関する会議の場で、インフレ抑制が次期政権にとって重要な任務だと強調した。経済状況を安定させるため、LPGに加えてガソリンなどにも一時的に統制価格を導入する。これにより、燃料価格を21年並みに抑制する。
デモ隊に対しては、治安当局が鎮圧のため催涙弾を使ったことなどから混乱が拡大した。ロイター通信によると100人近い警察官が負傷し、デモに関連して治安当局は200人以上を拘束したとしている。タス通信は抗議デモにより死者が出たと伝えた。
トカエフ氏は5~19日にアルマトイと西部マンギスタウ州、首都のヌルスルタンに非常事態宣言を出した。