JR西歴代3社長、2審も無罪 福知山線脱線事故、大阪高裁が判決

 乗客106人が死亡した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本元会長、井手正敬(まさたか)被告(79)ら歴代3社長の控訴審判決公判が27日、大阪高裁で開かれた。横田信之裁判長は3人に事故発生の具体的な予見可能性はなかったと判断。3人を無罪(求刑禁錮3年)とした1審神戸地裁判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。

 事故から4月で10年。司法は再び、経営トップの刑事責任を否定した。

 他の2人は元会長の南谷(なんや)昌二郎(73)と元社長の垣内剛(70)両被告。主な争点は1審に続き、事故現場の急カーブに対する危険性の認識の有無だった。

 判決は、事故の直接的な原因が「運転士の異常な運転操作にある」と指摘。現場と同程度の急カーブが各地に存在する現状などを踏まえ、経営幹部だった3人に「具体的な危険性の認識はなかった」と判断し、1審判決にほぼ沿った形で刑事責任を認めなかった。

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