NEC大幅安 減益見通し嫌気 成長投資の見方分かれる
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13日の東京株式市場でNEC株が大幅続落した。一時、前日比850円(14%)安の5130円となり年初来安値をつけた。12日に発表した2022年3月期の業績見通しが市場予想を下回り、失望売りが広がった。世界的なハイテク株安も影響した。今期は成長投資を優先し将来の収益力を高める計画で、株価下落は一時的との声もある。
12日発表の21年3月期の決算は高速通信規格「5G」向けの事業が伸び、連結純利益が前の期比5割増の1496億円と過去最高となった。22年3月期は純利益が670億円と前期比5割以上減る見通しだ。売上高は3兆円と横ばいを見込む。
純利益が大きく減るのは開発費などのコストが増すためだ。NECは決算と同時に発表した中期経営計画で26年3月期に営業利益率を8.6%に高める目標を掲げた。5G関連やデジタルトランスフォーメーション(DX)を成長分野と定め、経営基盤の変革・強化に向けた「戦略的費用」として320億円を積み増す。
今期見通しについて市場の見方は分かれている。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「投資は理解するが、それでも業績予想が保守的。コロナ禍でIT投資への期待から上がっていた銘柄のため失望売りも多い」と話す。
中期経営計画で成長分野を明確にし8%台の営業利益率目標を打ち出したことを評価する声もある。SMBC日興証券の吉積和孝アナリストは「足元の稼ぐ力の改善は想定以上だ。ネガティブな反応は想定内で、過度に悲観しなくてもよい」と指摘する。