出生数 最少の94万6000人 出生率1.43、2年連続低下
厚生労働省が1日発表した人口動態統計によると、2017年に生まれた子どもの数(出生数)は前年よりも3万人余り少ない94万6060人となり、過去最少を更新した。一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.43と2年連続で低下した。全国で最も出生率が低い東京都はさらに下げており、仕事と育児の両立環境に課題を抱えていることが浮き彫りになった。
出生数は2年連続の100万人割れ。3万人超も減るのは12年ぶりで、今年に入っても減少が続いている。これまでで最も出生数が多かった1949年は269万人が生まれたが、17年はこの3割強にとどまった。
出生率は前年に比べて0.01ポイント下がった。05年に最低の1.26を記録してから緩やかに回復してきたが、ここ数年は1.4台前半で頭打ちの状態が続く。
出生率がほぼ横ばい圏だったのに出生数が大きく減ったのは、女性の人口そのものが減っているためだ。出産適齢期とされる15~49歳の女性は約2498万人となり、前年に比べ1.3%減った。このうち子どもの8割を産んでいる25~39歳は2.5%減った。
第2次ベビーブームの1971~74年に生まれた「団塊ジュニア」と呼ばれる人口が多い世代が40歳代半ばになり、出産がピークアウトしてきたことも響いている。
晩婚・晩産化の影響も大きい。第1子を産む女性の平均年齢は30.7歳と過去最高の水準で高止まりしている。第1子の出産年齢が上がると第2子以降の出産は減る傾向にある。
子どもを出産した女性を年齢階層別にみると、最も多かったのは30~34歳。16年までは母が40歳以上の出生数は前年に比べて増えていたが、17年には40~44歳も減少に転じた。母が45歳以上の出生数はなお増えたものの、1511人と全体からみれば少ない。
出生率にも晩産化の傾向がみてとれる。女性の年齢階級別に合計特殊出生率をみると、35歳以上で上がった一方、34歳以下は軒並み下がった。
子どもを欲しいと考える夫婦らの希望がすべてかなった場合の出生率(希望出生率)は1.8になると政府は推計している。実際の出生率がこの水準を大きく下回るのは、出産・育児と仕事を両立しにくい環境が影響しているとみられる。
17年の出生率を都道府県別にみると大都市ほど低下幅が大きい。全国で最も低い東京都は1.21と、前年の1.24からさらに大きく下がった。大阪府も0.02ポイント低い1.35だった。神奈川、千葉や京都も1.3台前半にとどまる。大都市ほど核家族で夫婦共働きの世帯が多い。保育所に子どもを預けられないなど仕事と育児を両立しにくい。
希望出生率の1.8を実現するには、出生数が30歳代の6割弱にとどまっている20歳代向けの対策が課題になる。
出生数から死亡数を差し引いた人口の自然減は39万4373人で、過去最大の減少幅だった。出生率が改善したとしても人口減は当面続く。公的医療や年金などの社会保障制度などは、人口減を前提にした制度への見直しが避けられない。