「元横綱大鵬像を生誕地サハリンに」 有志が寄付金募る
昨年1月に72歳で死去した元横綱大鵬の故納谷幸喜さんの生誕地、ロシア極東サハリン州中部ポロナイスク(旧樺太・敷香)に設置予定の銅像の制作費が不足している。輸送費も含め800万円の経費が必要だが、7日までに集まったのは約400万円で、支援している秋田県大潟村の有志らが寄付金を募っている。
納谷さんは日本統治下の敷香で誕生。5歳だった1945年8月、対日参戦したソ連軍から逃れるため母や兄姉と北海道に脱出し、その後、サハリンの土を踏むことはなかった。
銅像は「同郷の英雄をたたえたい」とポロナイスク市が計画。秋田県は納谷さんの母、キヨさんの先祖が能代市出身、納谷さんの妻、芳子さんが秋田市出身で縁が深く、大潟村の彫刻家、鎌田俊夫さん(69)が制作を名乗り出た。化粧まわし姿の銅像の原型は、高さ約2.3メートルで、現在は鋳造が進む。
銅像は8月までにポロナイスク市に引き渡される予定だが、同市は用地確保やロシア国内の経費は賄うが、日本国内の制作費や輸送費を負担できず、銅像設置に向けては鎌田さんや支援者の熱意が支えとなっている。
鎌田さんを支援するため、大潟村の高橋浩人村長(53)らは「サハリンに大鵬の銅像を建てる会」を結成。納谷さんが少年時代を過ごした北海道弟子屈町からも協力の申し出があったという。問い合わせはJA大潟村内の「建てる会」事務局((電)0185・45・2211)。〔共同〕