北朝鮮船漂着

かつては工作員が侵入繰り返す 秋田の海岸、蓮池薫さん拉致実行犯も

 「北朝鮮から来た」と話す8人が乗っていた木造船が23日に漂着した秋田県は、長い海岸線が北朝鮮工作員の侵入・脱出ポイントにもなっていた。

 昭和56年8月、男鹿市脇本の海岸で北朝鮮で1カ月間の工作員教育を受けて戻ってきた在日韓国人の男が逮捕され、朝鮮労働党作戦部に所属する「戦闘員」と呼ばれる案内役の工作員2人が逃走した「男鹿脇本事件」が起きた。

 事件の翌日、日本海中央部の大和堆(やまとたい)を北朝鮮の方向に高速で航行する船を海上保安庁の巡視船と航空機が確認している。逃走した工作母船とみられる。

 このほか、38年に能代市の海岸で拳銃や乱数表などを持った工作員計3人の水死体が見つかった「第一次、第二次能代事件」▽同年に八森町(現・八峰町)の海岸から密入国した工作員が翌年、愛知県警に逮捕された「一宮事件」▽43年に男鹿市の海岸から密出国しようとして失敗した工作員が警視庁に自首した「男鹿事件」▽44年に能代市の山中から無線機や乱数表、400ドルの米国紙幣が見つかった「岩崎・能代事件」▽47年に象潟町(現・にかほ市)の海岸から密出国し、49年に兵庫県の海岸から密入国した後、再び密出国しようとした工作員を同県警が逮捕した「切浜事件」-などが公安当局に確認されている。

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